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Story.3 ページ3



「ありがとうございました」


ぴっ、と定期をかざし
運転手さんにお礼を述べる。


私たちは毎朝
高校の二つ手前の停留所で降りている。


私たち以外に降りる人は居らず
バスは勢いよくドアを閉めて走り去った。


それもそうだ。


わざわざ高校の前に停留所があるのに
こんな所で降りる理由がない。


私たちはあるから降りているけれど。


何となくバスが通り過ぎるのを
見つめていると

ぐいっ、と腕を引っ張られた。


「わっ、」

「コンビニ行こ」

「うん」


実は彼と付き合うようになってから
家を出るのが早くなった原因の大元はこれだ。


毎朝彼がコンビニに入り浸っていて
あまりにも朝練に来ないため

コンビニに滞在する時間を二人で決めたのだ。


「今日は何買うの」

「うーん、まいう棒買い足す」

「うん」

「あとは期間限定のお菓子適当に買って〜」

「女子か」


男子の口から期間限定という言葉が
出ると思うと少し面白い。

当の本人はというと
指を折りながらお菓子の名前を挙げている。


「ふふ、」

「何笑ってんの」


こうして毎朝同じ会話を繰り返すのも
幸せのひとつ。


「ひみつー」

「変なの」


そう言いながら彼は私の頭を撫でる。
私の事を犬や猫だと思ってそうだ。


「…髪ぼさぼさになるってば」

「ん」


そういえば

いつの日か彼が私のことを
小動物みたいと言っていた事を

なんとなく今、思い出した。


「ねえねえコンビニまで競争しよ」

「えー、」


嫌がる彼の手を両手で引っ張る。
相変わらず重たい身体だ。


「ウォーミングアップだと思ってさ」

「朝練ガチ勢じゃないんだけど」

「本当やる気無いよね」


はぁ、と
私はわざとらしく溜め息を吐いてみせる。


それを見た彼は何か思い付いた様に
引っ張られた腕を自分の胸に引き寄せた。


「きゃ、っ」


掴んでいたままだった私の両手は
離す暇が無く

彼の腕と共に引き寄せられた。


「“ヤ”る気ならあるよ」

「…変態、っ!」


なに朝からドヤ顔で下ネタ言っているんだ。

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羽仁子(プロフ) - 魅悪さん» ありがとうございます(´;ω;`)!頑張りますね! (2016年9月21日 16時) (レス) id: 6677755af2 (このIDを非表示/違反報告)
魅悪 - ずっと読んでました!更新頑張ってください(*><*) (2016年9月19日 5時) (レス) id: ce5526d871 (このIDを非表示/違反報告)
羽仁子(プロフ) - 赤紫さん» わわ、嬉しいです( ; ; )ありがとうございます!そう言って頂けることが何よりも嬉しいです!! (2016年4月29日 23時) (レス) id: 6677755af2 (このIDを非表示/違反報告)
赤紫(プロフ) - はじめまして!むっくん大好きなので更新ずっと待ってました(^^)この小説面白いので大好きです(^^♪最後に進学先決定おめでとうございます^^* (2016年4月29日 19時) (レス) id: 726f403aea (このIDを非表示/違反報告)
羽仁子(プロフ) - 林檎さん» ありがとうございますp(*^-^*)q 面白いと言ってもらえるととてもやる気でます嬉しいです! (2016年4月1日 16時) (レス) id: 6677755af2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:羽仁子 | 作者ホームページ:むっくんのお菓子  
作成日時:2016年2月15日 23時

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