月が綺麗な夜に貴方と

おおつぶの ページ41

私は全身が凍ったように動かなくなって




目の前の二人を見る事しか出来なかった



足をすくんで、手が震えてる



引き返さないと…




と後ろに下がろうとした時に




カンっ！！



と大きな音が響いた



え…？



地面に落ちたコーラの缶を足で蹴ってしまったようだ




ウォヌ先輩と女の人もその音が聞こえたようで音の発信源を探している




だめ…




こんな二人の会話を盗み聞きしてた所をウォヌ先輩に見られたら…最悪だ





冷たい汗が流れて、息がうまく出来ない




私に気付かないで…





バレないで…ということしか考えが浮かばず





その場で思わず目をギュっとつむったのだが




『……A？』




確かに聞こえた




低くて、優しい声




私の名前を呼ぶ、好きだった人の声




切れ長の瞳が私を向く



ああ、



見つかっちゃった




…



何で？



大好きだった貴方を声を


聞くだけで、



瞳を



見るだけで



何でこんなに胸が苦しくなるんだろう……




ゆっくりと、私の方へ向かってくる先輩





「ウォヌ…せんぱ…」




喉につっかえて思うように出ない言葉は





大粒の雫になって、私の目から流れ落ちた




私は慌てて顔を抑えてウォヌ先輩に背を向ける





ウォヌ先輩に泣き顔は見せたくない





私の恋は、一方通行だったんだから




泣いて、ウォヌ先輩を困らせたくなんかないよ…




でも、私の意思に関係なく




涙は溢れて地面に落ちていく




ダメだ…




ここから居なくならないと






そう思って、走ろうと思ったその時…






ウォヌ先輩が、私の腕を掴んだ

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