届かなかったラブレター (ページ3)

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過去に戻れるのなら。ページ3

手を伸ばせば届く桜の風にこれだけの思いをあなたに込めたことがあっただろうか。

ミンハオと遠距離になって約1ヶ月ぶりのデートに初デートの頃の私達を思い出して心を躍らせた。

おっきな黒いオートバイの後ろでミンハオを抱きしめて海辺を走るのはこれが最後だった。

ミンハオの家から出て高速道路を走る途中にバイクから1回だけ、小さい音が聞こえた気がする。

"A。ちゃんと俺に捕まってろよ。"

"うん。大丈夫だよ、ちゃんと捕まってる。"

"これ、寒いから着て。"
ミンハオは自分の来ていたライダースジャケットを器用に脱いで私に渡した。

"？私は寒くないよ？いいのに。"

"A。いいから、俺の言う事聞いて"

いつもだったら、ミンハオはちょっと怒りながら言うはずなのにあのときは何故か、少し困ったように、愛しそうに私の名前を呼びながらお願いされた。

"分かった。ありがとう"

"ん。じゃ、次は思いっきり抱きしめて"

"え、ミンハオどうしたの？デレ期なの？"

"そうだよ。悪いかよ。"

遠距離になってからまだ１ヶ月しか経ってないのに、ミンハオは寂しかったのかな？なんて呑気に考えて思いっきり後ろからミンハオが苦しくなるまで抱きしめた。

"痛てぇよ、バカ。"

"えへへ、ミンハオが可愛いなって思ったら強くなっちゃった"

そんなことを言ったらミンハオの耳がじんわりと赤くなったのを感じた。

"ミンハオ照れてる"

"お前がそんなこと言うからだろ! "

それから、高速道路を降りて大通りに出たとき、急にミンハオが私に聞いてきた。

"なぁ、A。俺のこと好き？ "

"どうしたのミンハオ、ほんとにデレ期なんだねw "

"いいから、ちゃんと答えて。"

"大好きだよ。ミンハオは？"

"俺は、お前を誰よりも愛してる。"

"ん。私も、愛してる。"

そう言った途端、大きなミンハオのバイクと体が宙に浮いた。それからの記憶はない。私が目を覚ましたのは冷たくて白いベッドの中。一瞬にしてミンハオのことが思い浮かび、全速力で病院の中を走ってミンハオを探した。