story47*お誘いは控えめに ページ5
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定時になり、今日済ませた分の仕事の最終確認を行う。
ミスも漏れもない。あとは、太宰さんがお手伝いしてくれた分だけど……
「A、帰ろうか」
「はい。社長に提出してくるので少しだけ待っててください」
心配する必要もないみたい。
私は今日二度2度目となる社長室へ向かい、扉をノックした。
「失礼します。今日終わらせた報告書と依頼の整理をお持ちしました」
「御苦労だった」
社長室には、福沢社長と秘書の春野さんの姿があった。
春野さんは私の姿を視界に入れると、申し訳なさそうに苦笑をこぼす。
「ごめんなさい、早瀬さん。いつも事務員の手伝いみたいなことをやらせてしまって」
「いえ、大丈夫です! 大学で書類の整理はたくさん学んできたので!」
私の願いは社に貢献すること。だったら事務仕事だって依頼をこなすのと何ら変わりはない。
就業の報告をし、私は太宰さんの元へと帰った。
「それじゃあ、寮に戻ろうか」
「はい……あの、」
「ん?」
私の手をゆるく握ってくれた太宰さんの手を見つめ、私は俯いて、先を行く足を止めた。
「……お酒、飲みませんか?」
これは私の精一杯のお誘い。
何より……今は少し大人になりたい気分だった。年齢的には本物の大人なんだけど。
「……驚いた。君からそんなお誘いが来るとはね」
「駄目ですか?」
「数日前に潰れちゃったの忘れたの?」
「うっ……」
その話を持ち出されてしまうと、私は何も言えなくなってしまう。たしかに私、次の日寝坊して迷惑かけたからなぁ……
太宰さん他、社員の方に迷惑をかけるのはやっぱりまずい。
諦めようと、手を離そうとしたとき。
「それじゃあ、今度はもう少し弱いお酒を買っていこうね」
「……え?」
「だってAがこの前飲んだお酒、ひーひー云っちゃうような強〜いお酒だし」
「えっ、そうだったんですか!?」
「うん」
にこっと微笑んだ太宰さんに、もう一度ぎゅっと手を掴み直される。
私もぱっと笑顔になり、手を握り返した。
「ありがとうございます」
…………大丈夫。この人がいてくれれば、心配なんて何も無い。
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りんご(プロフ) - はじめまして!読み漁っていて見つけてから一日で前作からここまで拝読させて頂きました!スラスラ読めて脳内再生も余裕という…凄いです…尊敬です!よろしければ続きが読みたいです…! (2020年11月2日 15時) (レス) id: 0c05c25a4f (このIDを非表示/違反報告)
心音ユイ(プロフ) - 続きを…与えてください… (2020年2月2日 9時) (レス) id: 7ab19ab3f9 (このIDを非表示/違反報告)
雨(プロフ) - どうしよう...きゅんきゅんしすぎて心臓が痛いです!なんなんですか!最高すぎます!これからも頑張ってください! (2019年6月1日 22時) (レス) id: e724ba4185 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶 - 初めまして、このお話と作者様のファンになりました!これからも頑張ってください! (2019年5月6日 17時) (レス) id: 32ca0aa653 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - わっふる。さん» コメントしてくれてありがとうございます!評価してくださってとてもうれしいです。これからもよろしくお願いします(^^) (2019年5月6日 12時) (レス) id: 2e99d5c18a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鈴蘭 | 作成日時:2019年5月1日 12時