お弁当 ページ35
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「こうやって見たら、やっぱふたりって付き合ってるんすね」
興味深そうに大きな目をキラキラとさせながら私とセンラさんの顔を交互に見るほけんしょくん。なんだか照れくさくて、そっと視線を外した。
「なんやねん、改まって」
「いやぁ? だって、お弁当の具一緒だし」
そう言われてみれば、そうだ。今日はセンラさんの作ったお弁当。同棲しているし、今までも作ってもらったこともあったけど、センラさんと同じお弁当を広げているところを誰かに見られるのは初めてで、顔が赤くなった。別に普通のことなんだけど! なんか恥ずかしい!
「おい保険証! 俺の! Aが照れてしまったやん! かわいすぎてヤバいから見んな! 目閉じろ!」
「えええ? センラさんって愛想の良い爽やかな先輩って聞いたのにそんなキャラなんすか?」
めちゃめちゃ怒るセンラさんと、困惑するほけんしょくん。そして照れる私。小さな空間で様々な感情が混沌していて、まさにカオス。空気を変えるように、ゴホンと咳払いをしてみせた。あまり変わらなかったけど。
「ほけんしょくんは、彼女作らないの?」
「俺っすか?」
大きな瞳をぱちぱちと瞬かせて、首を傾げるほけんしょくんは、正直、めちゃめちゃに可愛い。と、いうか、普通に顔が整っているのだ。営業課の後輩ちゃんたちも「イケメンだし」って理由でご飯に誘っていたような。
愛想もよくて話しやすいし、きっと彼はモテるだろう。
「俺、惚れにくくて。その癖、相手からグイグイ来られんのすっげぇ苦手なんですよ」
「え、そうなの?」
「ハイ。でも好きな人ができたら俺からめっちゃグイグイいっちゃいます」
なるほど。惚れにくいけど、惚れたら一途なのか。1番良いタイプな気がする。そういう人って、浮気とかしないだろうし、たくさん愛してくれそう。きっと未来のほけんしょくんの彼女さんは、幸せになるんだろうなぁ。
「そういえばほけんしょくんは、星野さんと仲良かったっけ?」
センラさんはいつものはんなりとした京都弁で、穏やかにそう聞いた。例の件があって少し気まづかったが、センラさんがいつも通りだったので、私も大丈夫だった。
「いや、大学ん時ほとんど話したこと無いっすよ。いつも人に囲まれてたイメージあるし、あーいう人って自分から行動しなくても人に恵まれるんじゃないですか?」
ふと、星野さんの顔が脳裏を掠めた。
星野さんは、今、どうな気持ちなんだろう。
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すずらん(プロフ) - 気まぐれさんさん» 1年前から読んでいて下さりありがとうございます(;;) 他の作品まで! 嬉しいです!!(;;) とても励みになります、ありがとうございました◎ (2021年7月17日 1時) (レス) id: 21d573643c (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - さくらさん» ありがとうございます(;;) 必ず完結させるつもりですので、待っていてもらえるととても喜びます◎ (2021年7月17日 1時) (レス) id: 21d573643c (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - 雨宮しおりさん» 1年前から読んでいて下さりありがとうございます!!(;;) 私よりも遥かに文章力のある方に褒めて頂けてにやけてしまいました。雨宮しおり様も執筆活動の方頑張ってください!(*^^*) (2021年7月17日 1時) (レス) id: 21d573643c (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - るなさん» ありがとうございます!(;;) 大好き、応援してる、等すべて励みになります! 更新が遅いにも関わらず、待っていていただきありがとうございました! (2021年7月17日 1時) (レス) id: 21d573643c (このIDを非表示/違反報告)
気まぐれさん(プロフ) - 一年前から読ませてもらってます!!すずらんさんの他の作品も好きなので楽しみに待ってました!!続きのお話しどうなるんだろうと不安に思いつつ、楽しみに待っていたのでまた更新されて嬉しいです!!作者様のペースで無理せず頑張ってください!! (2021年6月22日 6時) (レス) id: 29504c3438 (このIDを非表示/違反報告)
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