宣戦布告 ページ24
・
残業は鬼のように忙しかった。
パソコンの作業が終わり、やっと帰れるなと思えば、｢会議室Aの掃除お願いしてもいいかな？｣と課長に言われてしまった。こっちは雑用係じゃありません！とついイラッとしてしまったが、そんなことを言っても仕方が無いので大人しく掃除を始める。
机を拭いて、プロジェクターを元の場所に戻して、椅子を整えて……と地味な作業を始める。ああ帰りたい。折角センラさんが定時だったのに。
なんてグチグチと文句を言っていると、会議室のドアが開いた。
｢Aさん！｣
そこには星野さんがいた。彼女も残業なのだろう。
相変わらず愛想のいい笑顔で、とても可愛らしいなと思った。
｢お疲れ様。どうかした？｣
｢私今終わったところで、Aさんがこれ終わったら帰れるって課長から聞いたので手伝いに来ました！｣
やはり星野さんは良い子だ。こんなに優しくしてもらっていたら、疑ったことの罪悪感が大きくなる。
そう思っていたら、
｢Aさんって、センラさんと付き合っているんですよね？｣
可愛らしく首を傾げて、少し不安そうな顔をしなからそう尋ねてきた。
思わずドキッとする。彼女とセンラさんの話は正直したくなかったから。
｢……うん。お付き合いしてるよ｣
隠す必要もないかな と思いありのままに答えた。すると星野さんは｢やっぱりそうですよね……｣と呟いた。少し残念そうだ。その態度から、彼女は予想通りセンラさんのことが好きなことが分かった。
｢私も、センラさんのこと気になっているんですよ……。とーっとも、優しくご指導頂いて……一目惚れって初めてしました｣
だから、と星野さんは話を続ける。
｢お互い、がんばりましょうね！｣
ニコッ！！ 今日1番の笑顔と、語尾にハートが着きそうなくらいに上がったトーン。そのまま会議室の椅子を全て整えると、そそくさと出て行ってしまった。
(………………!?!?!?)
私、理解が追いついてないようです。
今のは完璧に｢恋の宣戦布告｣というやつだ。こんなことをされる日が来るなんて思ってもいなかった。
｢…………これからどうなるの｣
不安が胸に溜まって、モヤモヤした気持ちのまま帰路へと向かった。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1130人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すずらん(プロフ) - 気まぐれさんさん» 1年前から読んでいて下さりありがとうございます(；；) 他の作品まで！ 嬉しいです！！(；；) とても励みになります、ありがとうございました◎ (2021年7月17日 1時) (
レス) id: 21d573643c (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - さくらさん» ありがとうございます(；；) 必ず完結させるつもりですので、待っていてもらえるととても喜びます◎ (2021年7月17日 1時) (レス) id: 21d573643c (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - 雨宮しおりさん» 1年前から読んでいて下さりありがとうございます！！(；；) 私よりも遥かに文章力のある方に褒めて頂けてにやけてしまいました。雨宮しおり様も執筆活動の方頑張ってください！(*^^*) (2021年7月17日 1時) (レス) id: 21d573643c (このIDを非表示/違反報告)
すずらん(プロフ) - るなさん» ありがとうございます！(；；) 大好き、応援してる、等すべて励みになります！ 更新が遅いにも関わらず、待っていていただきありがとうございました！ (2021年7月17日 1時) (レス) id: 21d573643c (このIDを非表示/違反報告)
気まぐれさん(プロフ) - 一年前から読ませてもらってます！！すずらんさんの他の作品も好きなので楽しみに待ってました！！続きのお話しどうなるんだろうと不安に思いつつ、楽しみに待っていたのでまた更新されて嬉しいです！！作者様のペースで無理せず頑張ってください！！ (2021年6月22日 6時) (レス) id: 29504c3438 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
