嘘つきプリンス 《片寄涼太》

Prince 9 ページ9

side 涼太









家から自転車で五分。


そんな近距離に住んでる俺は、

家に帰るとすぐにスマホを手に取る。



待てよ、俺あいつの電話番号とか何も知らねえわ。


一応偽彼女なのに知らねえってのもなあ…


とりあえず適当にLINEを追加している女子に

Aの電話番号を聞き出す。



なぜLINEを聞かないのかって？

電話の方がおもしれえし、ただそれだけ。




あっさり聞き出した番号に早速電話。


…なのに全然出てこねえんだけど。




まだ家に帰ってない？

てかあいつどこ住んでんの？

電車通学だっけ？

だとしたら出れねえよな…

俺ほんとまだあいつのこと知らねえわ…






軽くため息をついて、

反応のない電話を切った。









・









夜9時。



流石にもう出るだろうと思ってもう1回電話。



…出ろよ、




すると、今度はすぐに声がした。









「…はい」

「もしもし」

「片寄くんでしょ」

「…は？」

「え？違う？」

「違うくねえけど」

「あ、よかった…」







バレてるし、面白くねえの。

まあ丁度暇だし、暇つぶしに話し相手になってもらうか。









「今何してんの？」

「明日の英語の小テストの勉強だけど」

「ふーん」

「片寄くんは？」

「お前と電話してる」

「っ…そう、ですね」

「英語は勉強しなくても出来るだろ」

「はあっ？！何言ってるんですか？！」

「じょーだん。俺だって勉強するよ。」

「してなさそうに見えますけどね…」

「努力もなしに完璧なわけねえだろ」

「どうだか。片寄くんは天才って感じですし」

「それ、大きな間違い、おやすみ」

「え、ちょっ…」









何もしなくても出来る、だなんて


なんか言われたら心底ムカついた。






俺は完璧なんかじゃねえのにさ…









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