夏休みの過ごし方 ページ4
「僕と一緒。」
「先輩も本好きなんですか?」
「うん、誰にも邪魔されない本の世界が好き」
そういう彼の目は、とても遠くを見つめているようで、どこか私と似ていた
「一緒です。私も…本の世界だけは誰にも邪魔されたくなくて」
「意外だねー。」
目を見開く彼は私がそんなふうには見えないと
遠まわしに伝えていた。
「家が嫌いで…」
ここまで言いかけてハッとした
「ご、ごめんなさい。初対面の人にいきなりこんなこと言って」
「初対面じゃないよ…」
「え?」
「初対面じゃない。僕は、君を勧誘しに来たんだ。Aちゃん、探偵にならない?」
いきなりのこと過ぎて頭が回転しない。
「初対面じゃないのはほんとなんだ。少し前から君のこと調べさせてもらってて」
一瞬、危険だと思った…けど、彼の目は決して
そんなような事は語ってなかった。
「僕はね、君みたいな子を探してたんだ。探偵事務所に入ってもらうために」
「探偵?」
「そう。探偵そして、条件があるんだ、それは、何かしらで環境が複雑であること、そして、住み込みで働ける子、最後に…歌い手をしている子」
ドキッとした。最後の条件に
「どうしてそれを…」
「僕は探偵だよ?」
それを聞いて納得する、探偵なら調べればすぐ
人のことがわかる。それなら私のことを知っているのも無理はない。
「それで、探偵になって見ない?サクヤさん。」
正直戸惑ったのは、事実、だけどこれを断ってしまえばまた、夏休みの居場所もふりだしに戻る。そして何よりこの声を私は聞き覚えがある。だから、
「是非、やらせて下さい。まふまふさん。」
彼はこの言葉を聞き、優しく微笑んだ
"ようこそ、雨後探偵事務所へ"
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作者名:海梅 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/miumedesu
作成日時:2017年7月30日 11時