伝えたかった想い ページ29
お兄ちゃんは私の頭をふんわりと優しく撫でてくる。
『ラウと付き合ってるって言ったけど、嘘です。ごめんなさい』
花火大会のあの日
『ラウ、あのね…ラウとは付き合えない』
「そっ、か」
『ラウといたら楽しいし笑顔になれる。でも、私の頭はすぐお兄ちゃんのこと考えてるの。そんな半端な気持ちでラウとは付き合えない』
「…ありがと」
『こちらこそ。好きになってくれて、伝えてくれてありがとう』
「最後にわがまま聞いてくれる?」
『ん?』
「友達やめたくない」
『…当たり前じゃん。ラウとは友達続けたいよ』
こうしてラウとは普通の友達のままでいることにした。
「知ってる」
『お兄ちゃんと一緒にいたくないのも、嘘』
「それも知ってる」
『…』
「まだ言うことあるでしょ。俺はお前に伝えたよ?気持ち」
『ズルい』
「聞かせて、ちゃんと。Aの口から」
ずっと、ずっと伝えたかった。
いいんだよね、もう。
言って、いいんだよね。
『好き』
「ん、知ってた」
そう言って私の頬に手を添えると長いキスをひとつ。
「これ以上は止まんなくなりそーだから、家でな」
『変態』
「なんとでも言えよ」
お兄ちゃんは立ち上がって手を差し伸べる。
「ほら、帰んぞ」
私はお兄ちゃんの手を掴んで砂浜を後にした。
隣を歩くお兄ちゃんの顔を見る。
猫背で顔デカくて、いつもは目付き悪いって思うけど、今は優しい目に見えるなぁ。
あとは…透明感のある白い肌、長いまつ毛にぽってりとした唇。
やっぱり、好き。
「何?そんな見ちゃって。照れんだけど。あ、彼氏がかっこよくて仕方ないってか?」
彼氏。
その言葉にニヤけそうなのを抑えるため悪態をついてしまう。
『んや?顔デカいなぁって』
「このまま海に置いて帰ろうか?」
『嘘だよやめて』
「ったく、口の悪い彼女だこと」
キュッと手を強く握ると指を絡めて握り返してくれる。
優しくて、温かくて…いや、冬の海にいたから手は冷えてるや。
『ねえ』
「んー?」
『大好き』
「ばーか」
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涼-suzu-(プロフ) - 萌加さん» コメントありがとうございます。4周!!!めちゃくちゃ嬉しいいぃぃいいですぅぅぅう!!!他の作品も…ありがとうございます本当に…。これからもよろしくお願いします(*ˊᗜˋ*)/ (2022年4月3日 0時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
萌加(プロフ) - このお話大好き過ぎてもう4周くらいしちゃってます!何回読んでも死ぬ程キュンキュンしてます!!!素敵な小説ありがとうございます(*^^*)他の作品も大好きです!!! (2022年4月2日 18時) (レス) @page47 id: 7084c2c2f0 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - ちぃさん» 読んでくださってありがとうございます。曲も聞いてくださったのですね…!いつでもふっかさんに会いに来てくださーいお待ちしてますよ(ふっかさんが) (2022年2月2日 22時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 急にすいません!物語全部読みました!すごく切ないし、途中から感情移入しながら読んでいました!この物語を読み終わったあと曲も聴いてみました!とても素敵な曲で物語ともリンクしていて書いている今も鳥肌が立っています!またここのふっかさんに会いにきます!笑 (2022年1月30日 2時) (レス) id: 3f5306abda (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - みきさん» ドキドキキュンキュンしていただけたならよかったです…。こちらこそありがとうございます本当に嬉しいです(´;ω;`)いつでもここに来てふかざわさんに会いに来てください。笑 (2021年9月25日 11時) (レス) id: e1cb7f51d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2021年3月6日 20時