かなわない相手 ページ28
「血が繋がってないなら兄妹なんてただの肩書き。結局は他人なんだから好きになって悪いことないし、付き合ったって別にいーじゃんって愛澄花さんは思うんだが」
へへへと笑って深く息を吐いたのが電話越しに伝わる。
「私は大介と血が繋がってるから」
『え…?』
「てか!早く学校来てくんない?あんたしか友達いないから暇で暇でしょーがないのよ!」
一瞬声のトーンを落としたかと思えばいつも通りに話し出す愛澄花。
『ごめんね愛澄花。帰りたいのはやまやまなんだけど、片道でお金なくなっちゃった…』
「えー!!!何してんの!ばっかだねぇ!」
電話越しにケラケラ笑う愛澄花がすごく愛おしく感じた。
「仕方ないなぁ。
『え!いやいや!そんなの大介さんに悪いっ』
そこまで言うと背中に感じる温もり。
よく知ってる、大好きなヘリオトロープの香り。
「捕まえたっ…」
「早く帰ってきてねー」
そう言って愛澄花からの電話は切れ、耳に残るのは単調な機械音とお兄ちゃんの声。
ああ、愛澄花には敵わないなぁ。
「俺のためとか言ってキレイゴトじゃん。自分のっ…自分のために俺の前からいなくなろーとしてんじゃんか!」
ブワーッと早口で私に言う。
その言葉にハッとした。
バイト中に偶然お父さんと再会。
お父さんに味方だよって言われた時
大人をもう一度信じてもいいのかもしれないって思った。
お兄ちゃんと離れられる。
これでお兄ちゃんを自由にしてあげられる。
そう思ってた。
違ったんだ。
私がお兄ちゃんから解放されて自由になりたかっただけなんだ。
「俺のためって言うなら、いろよ。ここに」
そう言って強く抱きしめ直す。
『ごめっ…なさいっ』
私はお兄ちゃんから離れたって、自由になれるわけないのに。
バカだな、私。
「やっ、と…泣いてくれた」
お兄ちゃんは体を離し私の前に周り込む。
そして両頬をむにっと引っ張られた。
『ひひゃひ(痛い)』
「下手くそ」
下手くそ…?何が…?
「嘘ついて誤魔化す時の笑顔下手くそなんだよ」
困ったように笑って私の涙を親指で拭う
「どんだけ俺がお前のこと見てきたと思ってんの?気づかれてないとでも思った?」
『…』
「好きな女の事くらい顔見りゃわかんだよばーか」
ずっと、叶わないと思ってたのに。
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涼-suzu-(プロフ) - 萌加さん» コメントありがとうございます。4周!!!めちゃくちゃ嬉しいいぃぃいいですぅぅぅう!!!他の作品も…ありがとうございます本当に…。これからもよろしくお願いします(*ˊᗜˋ*)/ (2022年4月3日 0時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
萌加(プロフ) - このお話大好き過ぎてもう4周くらいしちゃってます!何回読んでも死ぬ程キュンキュンしてます!!!素敵な小説ありがとうございます(*^^*)他の作品も大好きです!!! (2022年4月2日 18時) (レス) @page47 id: 7084c2c2f0 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - ちぃさん» 読んでくださってありがとうございます。曲も聞いてくださったのですね…!いつでもふっかさんに会いに来てくださーいお待ちしてますよ(ふっかさんが) (2022年2月2日 22時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 急にすいません!物語全部読みました!すごく切ないし、途中から感情移入しながら読んでいました!この物語を読み終わったあと曲も聴いてみました!とても素敵な曲で物語ともリンクしていて書いている今も鳥肌が立っています!またここのふっかさんに会いにきます!笑 (2022年1月30日 2時) (レス) id: 3f5306abda (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - みきさん» ドキドキキュンキュンしていただけたならよかったです…。こちらこそありがとうございます本当に嬉しいです(´;ω;`)いつでもここに来てふかざわさんに会いに来てください。笑 (2021年9月25日 11時) (レス) id: e1cb7f51d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2021年3月6日 20時