消せない落書き ページ3
「Aおっはよー!」
『おはよ』
愛澄花は自分の席にノールックでカバンを放り投げると私のところへスキップしてくる。
『これ、愛澄花でしょ』
机の落書きを人差し指でトントンとすると人懐っこい笑顔で、あらま!ばれちったぁ?なんてオーバーリアクション。
あんた以外私の机に落書きするやつおらんて。
「Aが好きって言ってたから描いてみた!どう!?愛澄花さん天才でしょ!?」
「何が天才なの?」
上から聞こえる声に顔をあげると担任の阿部先生。
「阿部ちゃあん!まだ時間全然あるよ!来るの早くないッ!?」
「こら佐久間、学校では先生って呼びなさい」
「へーい」
「ほんっと兄貴そっくりだな」
苦笑いをして私の机に視線を落とした。
『これ、愛澄花が描いた、私の好きなキャラクター、です』
「ねねっ、先生!上手でしょ私!」
「確かに上手いし…ちょっと、俺の友達に似てるかも」
「先生、大介以外に友達いたの…」
「お前より友達いる自信あるけど」
大介さんは、愛澄花のお兄ちゃん。
そして阿部先生の高校からの友達なんだとか。
私は大介さんに会ったことはないけど、何もかもそっくりな兄妹らしい。
阿部先生の顔を見れば会わないままの方がいいかもなんて思いが芽生えたけれどこっそりしまっておこうかな。
「でも佐久間、学校の机に落書きしないの」
「さーせぇん」
「謝る気ないだろ」
「全力で謝ってる」
「はいはい、消しとけよ」
阿部先生にそう言われたけれど、私は消すことができずにそのままにしておいた。
「A、今日バイト?」
『うん』
「そか!じゃあまた月曜日ねぇ〜ん」
『またね』
放課後、愛澄花とバイバイしてカバンを肩にかけた時、頭にボスッと強めに置かれる手。
身長縮んだかも。
「バイト、頑張って」
『ラウも部活頑張ってね』
「うん、また月曜日ね」
『また』
ラウともお別れしてアルバイトをしている家の近所にある居酒屋へ。
『おはよーございます』
「おはよ」
『あれ、めめ先輩早いですね今日』
同じアルバイトの2つ上の先輩、目黒蓮くん。
もう1人の先輩がめめって呼んでたから私も呼び始めた。
最初はめめ先輩ってなんだよって嫌がってたけど辞めない私を諦めたのかもうすっかり受け入れている。
めめ先輩、ちょっとお勉強が苦手なのはここだけの話。
「大学終わるの早かったから」
『え、大学…?』
「お前喧嘩売ってる?」
『すいませんでした』
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涼-suzu-(プロフ) - 萌加さん» コメントありがとうございます。4周!!!めちゃくちゃ嬉しいいぃぃいいですぅぅぅう!!!他の作品も…ありがとうございます本当に…。これからもよろしくお願いします(*ˊᗜˋ*)/ (2022年4月3日 0時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
萌加(プロフ) - このお話大好き過ぎてもう4周くらいしちゃってます!何回読んでも死ぬ程キュンキュンしてます!!!素敵な小説ありがとうございます(*^^*)他の作品も大好きです!!! (2022年4月2日 18時) (レス) @page47 id: 7084c2c2f0 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - ちぃさん» 読んでくださってありがとうございます。曲も聞いてくださったのですね…!いつでもふっかさんに会いに来てくださーいお待ちしてますよ(ふっかさんが) (2022年2月2日 22時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 急にすいません!物語全部読みました!すごく切ないし、途中から感情移入しながら読んでいました!この物語を読み終わったあと曲も聴いてみました!とても素敵な曲で物語ともリンクしていて書いている今も鳥肌が立っています!またここのふっかさんに会いにきます!笑 (2022年1月30日 2時) (レス) id: 3f5306abda (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - みきさん» ドキドキキュンキュンしていただけたならよかったです…。こちらこそありがとうございます本当に嬉しいです(´;ω;`)いつでもここに来てふかざわさんに会いに来てください。笑 (2021年9月25日 11時) (レス) id: e1cb7f51d3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2021年3月6日 20時