AM8:00 ページ2
いつも早く学校に来るのは理由がある。
誰もいない、朝日が射し込む教室。
何も書かれていない綺麗な黒板。
グラウンドから聞こえるのは夏季大会に向けて元気に朝練中のサッカー部や野球部の声。
なんでって聞かれると上手く言えないけど、この空間に1人でいるのが好きだから。
自分の席へ向かうと机には私の好きなチベットスナギツネのキャラクターの落書き。
きっと親友の
『ふふっ。やっぱ上手いな』
愛澄花は将来漫画家になりたいらしい。
目標があって頑張ってる愛澄花はすごく輝いてる。
『それに比べて何やってんだろうなぁ、私は』
チベットスナギツネの落書きを親指でそっと撫でる。
ほんと、お兄ちゃんそっくり。
目つき悪いとことかさ。
「おはよ」
『…っ！お、おはよ』
「なに机見てニヤニヤしてんの」
隣の席のラウールが教室に入って私に近づいてくる。
ふわふわの銀髪。
ちょっとだけ目にかかった前髪。
端正な顔立ちに180cmを超えた身長、長い脚。
本当に同い年かと疑うほどのスタイルを持っている彼は
言わずもがなモテまくってる。
「きゃはは！何これぶっさいくなキツネ！」
ただ、しゃべり始めるとちゃんと高校生なんだなって思える幼さがある。
『それがかわいいんだよ』
「Aちゃん、このキャラクター好きなの？」
『うん』
「…どこがいいの。もっとかわいいキャラクターいるじゃん」
『うーん』
少し迷って、ラウならいっか、と告げた。
『似てるんだ、好きな人に』
「…へぇ。好きな人」
『うん』
ラウは私が唯一男子生徒の中で仲良くしている人。
話しかけてきたのは意外にもラウからだった。
出席番号の兼ね合いで1番後ろで隣の席になった私とラウ。
「よろしくね」
『よろしく』
よく忘れ物をするラウにシャーペンを貸したり、消しゴムを半分にちぎってあげたり
そこからいろいろ話すようになって音楽とか、アニメとかゲームとか
好きなものが似ていて仲良くなった。
「Aちゃんの好きな人って、ブサカワなの？」
ブサカワじゃなくてフカザワだよ！って言いそうになるけど、ああ、私もフカザワだった。なんて。
『うーん、顔はでかい』
「…本当に好き？普通に悪口だよ？」
『へへっ。うん、好きだよ』
伝えられない、叶わない恋だということを思い出して泣きそうなのを
笑って誤魔化した朝の8時。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 791人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
涼-suzu-(プロフ) - 萌加さん» コメントありがとうございます。4周！！！めちゃくちゃ嬉しいいぃぃいいですぅぅぅう！！！他の作品も…ありがとうございます本当に…。これからもよろしくお願いします(*ˊᗜˋ*)/ (2022年4月3日 0時) (
レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
萌加(プロフ) - このお話大好き過ぎてもう4周くらいしちゃってます！何回読んでも死ぬ程キュンキュンしてます！！！素敵な小説ありがとうございます(*^^*)他の作品も大好きです！！！ (2022年4月2日 18時) (レス) @page47 id: 7084c2c2f0 (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - ちぃさん» 読んでくださってありがとうございます。曲も聞いてくださったのですね…！いつでもふっかさんに会いに来てくださーいお待ちしてますよ(ふっかさんが) (2022年2月2日 22時) (レス) id: 7e38231ab5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぃ(プロフ) - 急にすいません！物語全部読みました！すごく切ないし、途中から感情移入しながら読んでいました！この物語を読み終わったあと曲も聴いてみました！とても素敵な曲で物語ともリンクしていて書いている今も鳥肌が立っています！またここのふっかさんに会いにきます！笑 (2022年1月30日 2時) (レス) id: 3f5306abda (このIDを非表示/違反報告)
涼-suzu-(プロフ) - みきさん» ドキドキキュンキュンしていただけたならよかったです…。こちらこそありがとうございます本当に嬉しいです(´；ω；｀)いつでもここに来てふかざわさんに会いに来てください。笑 (2021年9月25日 11時) (レス) id: e1cb7f51d3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：涼-suzu-
| 作成日時：2021年3月6日 20時
