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放課後、文化部の会議が終わって玄関で靴を履き替える。
夕方に肌寒くなってきたのを感じて冬が近づいていることを実感する。
「あれ…?」
ふと正門に向井くんがいるのを見つけた。
まだ学校にいたんだ。
「向井くん」
「おお!お疲れっ!」
「お疲れ様。…誰か待ってるの?」
「せやねん」
うちのクラスメイトはみんな帰ってるしなぁ…。
「友達が部活終わるの待ってるの?」
だとしたらまだまだ長いしずっとここで待っておくのだろうか。
「いや?その子は部活してへんよ?」
「じゃあ…他の文化部の人?会議終わったから多分もうすぐ…むっ」
「おりゃっ」
「むはいふん[向井くん]」
向井くんが左手で私の両頬を掴むからとんでもない変顔になってるだろうし、うまくしゃべれない。
「ははひへ[離して]」
「んはっ!かわええ」
そう言って私の頬から手を離す。
…かわいい、か。
なんだか胸の奥がキュンッと締め付けられる感覚がした。
「ほら、帰んで」
「…え?」
「んもー!まだ分からへんの!?はるるのこと待ってたんよ!」
「…なんで、私?」
「一緒に帰りたいやん!…友達やから」
少し困ったように笑って歩き出す。
友達を待って一緒に帰ることなんて変なことじゃない。
今まで待ってくれる友達という存在がいなかったからなんで私なんかを待ってたんだろうって思っちゃった。
そうだ。
私にも一緒に帰ろうって待ってくれる友達ができたんだ。
「置いてくでー」
「あ、待って!」
すごく嬉しいはずなのに、向井くんには友達以上の感情を持ってしまっているからか複雑な気持ちだった。
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作者名:涼-suzu- | 作成日時:2021年10月4日 6時