サッカー部の目黒くん

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＿


「こう、じ」

「…おう」


あの後、私を昇降口まで送って練習に戻った目黒くん。

そしてそこには康二がいた。


「やっぱりめめには勝てへんなあ」

「…ごめん」

「なにがよ」

「その、康二とは、付き合え、ない」

「…ん」

「それにたくさん助けてくれたのに…何も返してあげられなくてっ」

「もう謝ったらあかんからな」

「だって…!康二の気持ち考えたら…」

「あー、もう!言うたやろ?都合いいようにしてくれてええって。やから気にしたらあかん!そっちのほうが傷つくわ」

「…ん、わかった」

「俺な、気づいたんよ」

「うん?」

「めめを見てる時の幸せそうなAが好きなんよ。やから…ええねんこれで。な?」

「康二…」

「あ!友達のままでおってや?避けたりするのなしやで?」

「そんなこと、しないよ。するわけないじゃん」


康二は目黒くんのいるグラウンドの方に手を合わせ、最後やから許してなと小さく呟いて私に1歩近づく。

私の目線までかがんで私の頭の上にふわりと手を置いた。

今まで見たことないような愛おしそうな顔。


「めちゃめちゃ好きやったで」

「…っ」

「はは!目ぇ飛び出そうや」


いつも人を笑わせる康二がケラケラと笑う。

初めて見た、かも。


「よし、帰るで!駅まで競走や」


ボーッとそんなことを考えていたらいつもの康二に戻っていた。


「え!?ちょっと、康二!」

「負けたら明日の昼飯奢りやでー!」


笑顔で走っていく康二のあとを追いかける。

気持ちに答えてあげられなくてごめん。

でも、嬉しかったよ。

康二、本当にありがとう。

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