近すぎて言えない。

２：Side 青 ページ2

　
　
　
　
　ずっと気持ちがくすぶってるから、
　もうあいつのゆり組言動を俺も楽しんじゃってるの。


　動画や雑誌の企画とかでゆり組絡みしてくる時、内心で俺がどんだけ自分を抑えてるか。


　抱きついたり顔を近づけたりするショットなんか、たまにちょっとバレて涼太に


「俺も恥ずかしくなるからやめて」


　って言われるけど。

　マジでそういう時間がたまらない。

　あいつと触れ合えるのは、そういう時しかもうないから。

　俺は恥ずかしくてゆり組言動とかそういうの言えないから。

　そういう機会を自分から作れない。


　だから涼太が言う。


　涼太が俺への愛を言う。俺が何も言わなくても。


　受け身の気持ちよさってやつ。


　必死になってニヤつく程度に抑えてる。


　…………。


　言うまでも無く、それは俺の為じゃなく、ファンのためだ。
　カメラが無い所で言われた事なんか、もちろんない。


　あいつはただ、ニーズに応えてる。
　はいどうぞ、分かってますよって感じで。


　そう、仕事だから。


　仕事なら抱きつかれても、添い寝しても大丈夫。

　あいつの中で納得もガマンも出来るんだ。

　優しいまま。

　２人きりじゃ全く喋んないクセに。


　俺もその場は満たされた気持ちになるけど、
　少し時間が経てばまた渇いてくるのは、
　仕事だからって分かってるからだ。


　いつか涼太が言った“いつも愛してるから大丈夫”を何度も脳内で繰り返してる。


　むなしくなるのが分かってても渇けば繰り返してる。


　……なにやってんだよ……俺なにやってんだよ……
　最近そういう機会が無いからか、渇きがひどい。
　
　
　
　涼太。お前の俺への愛ってさ、
　みんながいないと言えねーの？
　
　
　
　あのさ、最近俺ちょっと、プライベートでも言われたい。


　少しでいいから実感が欲しい。


　分かってる。


　涼太は別に、俺と同じ気持ちじゃない。


　それでもなんか、なんか……
　
　
　
　……言ってくれねーかな、涼太。
　
　
　
　
　
　

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