第6話 ページ7
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Shp side
俺には、頼れる先輩が居る。
——もちろんA先輩。クソ先p...部長は頼れん訳ちゃうけど、なんかそう思うのは悔しくて。
A先輩は、19歳とは思えんくらい冷静沈着な人で、いつも
「A先輩」って呼んどるのは、ワイより年下やのに先輩ってのが違和感あって、なんかおもろいから。
...そんなA先輩に、俺は思うことがある。
「A先輩って、ほんまに男なんかな...」
そんな呟きが、今は俺しかおらん書記長室に響いた。
A先輩は少し前から兵士の指導もしているらしく、俺も幹部になった直後、大体のことは彼から教わったから、共に過ごす時間は割と多かった。
...その分、素の彼を見る機会も、他の幹部より多かったわけで。
男性にしては小さくてしなやかな白い手、筋肉質な感じのしない華奢な身体、普段は冷たいのにふとしたときに口に手を添えて笑う表情...
極めつけは、この前ふと目にした、A先輩と一般兵との会話やった...
“「A様は、大切な女性へのプレゼントに何をお選びになりますか?」”
“『...僕はそういうことしたことありませんけど、ネックレスとか喜ばれると思いますよ』”
“「ネックレス、ですか...渡すの、恥ずかしいですね...」”
“『確かにそうかもしれませんね...んー...、でも、そんなに気負う必要は無いと思います。時間をかけて選んだ物なら、女性は何でも嬉しいですよ』”
“「なるほど...確かにそうですね...A様って、女心わかる系男子なんですね!」”
“『そ、そうでしょうか...?』”
“「もしかして前世女の人だったりして?あはは!A様に関する女性の話は何一つ聞いた事がありませんし、専属メイド様もついておられないとお聞きしましたので、きっとA様の才能なのですね!」”
“『あ、あぁ...それは、そ、そう...かも...しれませんね...』”
“「A様、ありがとうございました!また何かあったら相談させてください!!」”
——普段は何事にも動揺せぇへんA先輩が、明らかに焦ってたのを、俺は見逃さんかった。
その時から、A先輩はやっぱり女性なんちゃうかって疑ってんのは事実。...本人に聞こうとはせぇへんけど。
まぁ、ええわ。とりあえず書類進めんと...
手伝うって言うたからには、それなりにやらなあかんな。
...きっと今頃、地下牢は叫び声が響いとるやろうし。
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_ - 好きです、この作品を作ってくれてありがとうございます (2023年1月30日 21時) (レス) @page6 id: 029def3e61 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Suu | 作成日時:2023年1月24日 9時