君はいつも救世主。II

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((毎度の如く)長編予定です)

神山side





舞台のお仕事を貰って、減量することにした。



もともと運動大好きやし、代謝もええほうやからお菓子を辞めるだけでもカンタンに落ちていった。



なんやこれ。ご飯抜いてったらもっと減らせるんちゃうん？



夜ご飯の炭水化物を抜いて、朝ごはんは食べなくなって。



舞台稽古に明け暮れた。




「神山くん、ここもうちょっとさ〜…」



「はい、分かりました、すみません」




稽古は思っていた何倍もキツくて、ご飯を食べる余裕もないくらい。



下っ端やし、足なんて引っ張れへんからな。




"…神山くん？少し休憩とったら…？"


"大丈夫です"



カンパニーの人にも素っ気ない態度取ってもうて。



これから一緒に乗り越えていくってゆうんに、感じ悪いよな、俺。



気づけばご飯を口にしない日々が数日続いた。



「神山くん、ちょっと痩せすぎ。これじゃ役に合わないよ」



「え…？俺まだ太ってますよ…？」



「君には太っているように見えてもね、役としては合わないんだよ」



…あぁ、監督怒らせてもうた。



カンパニーの雰囲気も悪くなってもうたし、俺もなかなか思い通りに演技ができひん。



辛い。しんどい。



見かねたマネージャーが、大量にご飯を買ってきてくれて。



「あと数日で本番ですよ？何か食べないと倒れてしまいます」



「…ん、ごめん、ありがと」




目の前に広げられた食べ物。



太らなくちゃいけないんや、俺。



あれもこれもと、手をつけた。



「そんなに食べれるのなら良かったです」



そう言って微笑むから、食べ進めた。



"お疲れでしょうし、ゆっくりおやすみください"



ホテルからマネージャーが出ていって、1人で練習していると、急に込み上げてくる吐き気。




「っぐ……！おぇぇぇっ、っはぁ、げぼぉっ、っぇ、げほっ、ぅえっ、」




…結局全部出してもうた…



それから、食べ物を出される度に、あの光景が思い返されて、手をつけれへんくなって。



やけど、イライラしてストレス溜まって不安になって。



本番を迎えて、メンバーが代わる代わる来ては



"すごい良かったよ"って言うてくれるけど、信じられへんくて、ホテルに帰っては泣いて。



明日のために、と詰め込むパンも全部出す。



その生活を1ヶ月も続けると、吐くことが当たり前になってくる。



逆に、吐かないとすぐ太ってまう。



そう思って、自分で指を突っ込んで吐くようになった。

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