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続き。 ページ8

「んっ……」

気がつけば外は明るくなっていて、カーテンが光に照らされていた。

どうやら眠っていたらしく、時計の短針は8を指す。

幻太郎と帝統は帰ってしまっていない。

乱数はまだ目覚めていないようだ。

見回りに来た看護師さんに「意識が戻ったらナースコールで呼んでください」と言われた。

片手を離して自身の手に乱数の手を重ねるようにし、空いた手で彼の手の甲をそっと撫でる。

傷こそあれど、すべすべで指は華奢。
透き通るような白に私以上の女子力を感じていた。

それでいて骨ばった手の甲にほんのり口付けをする。無意識の事だった。
そのまま自身の空いている手を彼の手に重ねた。

「あたし貴方に会えて本当に嬉しいのに、当たり前のようにそれら全てが悲しいんだ」

誰も聞いていないのをいいことに、ふと頭に浮かんだ歌を静かに歌い始める。

そして、歌い終わってすぐ。

「……んぅ」

傷のついた瞼がゆっくりと上がり、綺麗な青空色が覗く。

「わわっ、らむ!」

思わず叫んだ私の声に気付いたのか、不思議そうな顔をこちらに向けた。

「A……?」

マスクを曇らせるいつもより少し低い、掠れた声。

「わ〜意識戻ってよかった!」

私はこう言いながら、看護師さんを呼んだ。

程なくしてお医者さんと看護師さんが現れ、脈などをはかっている。

問題は無いらしく、一般の病室へ移ることになった。

「準備するので先に行ってます」と言って彼のマスクを外し、2人は出て行ってしまった。
荷物も運んでくれたのが救い。

「じゃあ、行こっか。立てる?」

大きく頷いた彼は体の向きを変えて靴を履き、地に片足をつける。

そのまま立った。否、立とうとした。

もう片方の足をつけ立ち上がろうとして、痛めていたのかこちらに倒れこんでくる。

受け止めた私を見上げ、恥ずかしそうに苦笑いを浮かべる彼。

「やっぱり……!もー、座って待ってて?」
「はーい。ごめんごめん」

小走りで部屋を出て、車椅子をとりに向かう。

戻ってきてそれに彼を乗せた。

「わーなんか新鮮!」
「それはこっちの台詞。らむが乗った車椅子押す日なんて考えてもいなかった」

いつもと話すテンションは変わらないが、声が枯れているからか不思議な感覚。

乗っていたエレベーターを降りて、言われた病室へ向かう。
どうやら同じ部屋の人はいないようだ。

それから、お医者さんから色々説明を受ける。
必要なものは、スタッフの子にお願いして持ってきて貰うことにした。

続き。→←決戦のその後で。



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真歩路(プロフ) - まぁらいおんさん» わあっ!見て頂けてるんですね〜!リクまでありがとうございます!書くのが遅い上に濃厚系もヘタなのですが、少しでもご期待に添えるよう頑張りますね、、!すごく嬉しいです〜! (2018年11月19日 19時) (レス) id: c4fa7f7861 (このIDを非表示/違反報告)
まぁらいおん - いつも見てます!すごくおもしろいです(´∀`*)リクエストいいですか??乱数が夢主に嫉妬して濃厚な感じの展開になっていくお話が見たいです!お願いしますm(__)m (2018年11月19日 18時) (レス) id: cb3aeae411 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:真歩路 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年8月20日 17時

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