浴衣。 ページ4
乱数さいど。
明日は花火大会。
もちろんAと一緒に行くつもりなんだけど、ボクにはあるアイデアがある。
「ねね、A?」
声を掛けると、バッと顔を上げて弄っていた携帯から目を離す彼女。
『はい?』
「ちょっとこれ着てみてよ!」
ボクが彼女に渡したのは浴衣。
そう、花火大会でボクがデザインしたものを着てもらおうと言う考え。
Aは受け取った浴衣を羽織り、手早く前を合わせた。
『こう?』
「うんうん!ボクの思った通り、すっごい似合ってる!」
『マジ?ありがと』
照れたように頬に手を当ててこう言ったA。
次の瞬間、ハッと閃いた表情を見せる。
『ねえらむ、後ろ向いて立って、腕広げて?』
「へ?うん」
『ちょっと待てて。振り向かないでね?』
言われたようにした時、何か嫌な予感を感じた。
数十秒経ち、帰ってきた足音がしてまもなく。
何かを腕に通される感覚とバサッと言う音に反射的に目を瞑る。
目を開けると、予感的中。
先程の浴衣がボクに着せられていた。
「ちょっと〜なにすんの〜?」
『はいはい、暴れないでね〜』
そう言いながら慣れた手付きで紐を結ぶA。
見事に着付けられ、帯までされてしまった。
いくら普段中性的と言われる格好をしていようと、さすがこれは少し恥ずかしい。
彼女は写真を撮って満足げな顔をしている。
「もお〜A〜?」
『いいじゃん。明日それで行ったら?』
「行きません!バカなの?ボクはAに着てもらうためにデザインしたのー!」
『ハイハイごめんごめん』
お手上げーと言った様子でAは苦笑い。
「んー。でもたまにはいいかも」
『うん。別バージョンも見てみたいな』
「ふふ。また今度ね?」
あ、もしかして地雷踏んだか?
今度ねって、今度またレディース着てもいいみたいな意味になるよな。
しかもA、そう言うのはいいやけに覚えてるしなぁ……。
ちょっとやらかした気がする。
『と言うことは』
「ん?なーに?」
『自分が着る浴衣のデザインもしてあるの?』
自分が着る浴衣……?
「考えてなかった……」
『じゃあ、一緒に考えよ?』
「いいの?」
『いいに決まってんじゃん!』
こうして高速で考えたのは、Aのと対になるデザイン。
明日が楽しみ。
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真歩路(プロフ) - まぁらいおんさん» わあっ!見て頂けてるんですね〜!リクまでありがとうございます!書くのが遅い上に濃厚系もヘタなのですが、少しでもご期待に添えるよう頑張りますね、、!すごく嬉しいです〜! (2018年11月19日 19時) (レス) id: c4fa7f7861 (このIDを非表示/違反報告)
まぁらいおん - いつも見てます!すごくおもしろいです(´∀`*)リクエストいいですか??乱数が夢主に嫉妬して濃厚な感じの展開になっていくお話が見たいです!お願いしますm(__)m (2018年11月19日 18時) (レス) id: cb3aeae411 (このIDを非表示/違反報告)
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