続き。 ページ13
乱数さいど。
“ねえ、乱数。今からこっち来れる?”
「あ、遥おねーさん!なんで?」
“Aちゃん来てるよ”
「……マジ?」
思ったよりも低い声が出た。
そうか。そっちに行ってたのか。
“うん。今泣き疲れて寝てる”
「すぐ行くわ」
キャラを保つ余裕もなくこう返した後、待ってるという言葉を聞いて、パーカー片手に事務所を飛び出した。
駅までの道を歩く速さが自然と速くなっているのに気付く。
おねーさんたちは声を掛けて来たり手を振って来たりしたが、長く絡もうとはしなかった。もしかして、余裕の無い雰囲気でも出ていたのだろうか。
電車に飛び乗って1駅。
そこからしばらく歩けば、彼女の迎えに良く来る見慣れたマンションが見える。
「遥おねーさん、来たよ!」
遥「はいはい。Aちゃんさっき起きたから」
エレベーター待ちの時間がとても長く感じた。乗り込んでからも扉の閉まる速度は変わらないのにガチャガチャと閉のボタンを連打したり。
降りてからはほとんど駆け足のようだったと思う。
インターフォンを押すと、「あいてるよー」という声。
リビングから不安そうに玄関を覗き込む顔に酷く安心して飛びついた。
「Aっ、ごめんね」
『こちらこそ。何処行くか言わないで出て行っちゃってごめん……』
小さかったし、篭ってたけれど、はっきりと耳に声が届く。
僕の胸に埋まっているダークブラウンの頭をポンポンと撫でると、後ろに回された手のパーカーを掴む力が少し強くなった。
それからしばらく。Aの後ろに見える人影。
遥「どう?落ち着いた?外寒いし、ココアできたから飲んでいきなよ」
「わーい!ありがとー!」
リビングに入ると微笑ましいと言うようにこちらを見つめる人と目が合う。
「あ!彼方おにーさん!」
彼「やめろその呼び方」
ちょっと照れたような気怠げな声に笑みをこぼす。
「へへへ。元気ー?」
彼「笑うなよ。うーん、この前腰やっちゃったけど元気、かな?」
「えー大丈夫ー!?」
ココアを飲みながら世間話をしていたら結構時間が経ってしまっていた。
『遥さん、彼方さん。ありがとうございました!』
「ホントありがと!また来るね!」
遥「うんうん。待ってるね」
帰り道にちゃんとお互い話をして謝り合った。
これからはA以外に一番という言葉を使わない。
そして、玄関で帰り際、彼に言われた通り、明日は前に約束していた遊園地に行こう。
そう心に誓ったのだった。
69人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
真歩路(プロフ) - まぁらいおんさん» わあっ!見て頂けてるんですね〜!リクまでありがとうございます!書くのが遅い上に濃厚系もヘタなのですが、少しでもご期待に添えるよう頑張りますね、、!すごく嬉しいです〜! (2018年11月19日 19時) (レス) id: c4fa7f7861 (このIDを非表示/違反報告)
まぁらいおん - いつも見てます!すごくおもしろいです(´∀`*)リクエストいいですか??乱数が夢主に嫉妬して濃厚な感じの展開になっていくお話が見たいです!お願いしますm(__)m (2018年11月19日 18時) (レス) id: cb3aeae411 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ