【d!】あいの風に飛んでゆけ【企画】 (ページ3)

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「俺も行くやん」

「えー? でも今日車検で車出してるやん。歩きやで?」

「知ってる。でも行く」

「何か欲しいもんでもあるん?」

「いや、そういうんやないけど……」

兎にも角にも行くなら行くでちゃんとボタン締めて、と言いながら日傘を彼の頭上にも掲げてやると、彼は子供みたいに素直にうんなんて返事をしてシャツのボタンを第二ボタンほどまで留めた。

「んで? 何かあったん?」

「まぁ……最近出掛けれてなかったし、あと荷物持ち」

「ふふ、優しいなぁ」

ショッピくんにそう言えば少しばかり眉を顰めた彼は、徐に私の手から可愛らしい日傘を横取りして。

左に立ったショッピくんは右手でそれを持って掲げて、私と彼の頭上に影を作り出す。

「おぉ日傘って結構ええやん」

「もう……でも、いいやろ。だいぶ温度変わるくない?」

「それもそうやけど、」

雨じゃなくても相合傘できるし。

そう言ってふふ、とほほ笑んだショッピくんに呆気に取られる。少しばかりそうしてぽかんと口を空けているとふと頭上の影が遠ざかった。その瞬間に痛いくらいの日差しが刺さったものだから、意地悪に先を歩いて行くショッピくんを急いで追いかけて再び影の内側に入った。

そうして今度は二人、並んで夏の道を歩いた。