【d!】あいの風に飛んでゆけ【企画】 (ページ15)

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Day7 風鈴の音がいつだって綺麗なものとは限らない。／gr ページ15

止まない風鈴。揺れる向日葵。空に浮かぶはキノコ雲。
　嗚呼、本日も晴天也。

｢だぁから！何で貴方はいつも命令を無視して飛び出して行くのですか！｣
｢“廊下では静かに”だ、空軍最高司令官。｣

　片や己のままの早さで、片や引き留めんばかりの早さで、しかしどちらも規則正しい足音が彼らの声と共に廊下を揺らし続ける。
　前者はこの国の現総統にして元空軍大将。後者は現空軍中将であり、この様な風景は度々起こる為に、軍の殆どが触れぬ神に祟りなしと道を開ける。そしてその喧騒を止めるのはいつだって舌足らずな声。

｢静かにしていられるものですか！グルッペン総統閣下、幾ら貴方が私達の英雄で大先輩だとしても、｣
｢A中将、落ち着けや。｣
｢ショッピ大佐…｣
｢最終的に離陸許可したのは俺や。つべこべ言う暇あんなら自機の確認へ戻れ。整備兵が泣いてたで。｣
｢…承知しました。｣

　渋々ながらも己の上司に最敬礼をしてその場に背を向けるA。角を曲がった彼女を確認した瞬間、上司達はスタスタと会議室へ入室し、互いに視線を合わせた。

｢何故いつも邪魔するのだね、空軍最高司令官。｣
｢邪魔だなんて。俺はただ総統閣下に歯向かう‘直属の’部下であり後輩を指導した迄です。｣

　沈黙。そしてグラスの中の氷水が擦れる音が彼らのゴングであった。