【d!】あいの風に飛んでゆけ【企画】 (ページ13)

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Day6 虚空／kn ページ13

同居人の好物である鮭が足りなくなったので買い出しに行こうと思い玄関の扉を開ける。外と家の空間を仕切る薄っぺらい木板の隙間からジリジリと日輪の光が微かに侵入し、スラックスやTシャツから露出している部分を突き刺していく

もうすっかり夏なのかと一人で納得し、同居人のコネシマ─本名は捏島孝行。私のクラスメートである─に外に出ると声をかける。すると意外なことに「俺も行く」と返事が返ってきた

『良いの？外はクソ暑いけど…』

kn「…んなもん当たり前やろ。カレンダーを見ないと季節が分からないくらいこの家は空調が効き過ぎとるんやし、これ以上季節感覚が擦れるのは嫌やってん」

『………そう』

…確かに、彼の言うことにも一義ある。季節の感覚が擦れるのは流石に日本人としても如何かと思うからだ

いくら今の時期、オーストラリアではクリスマスでサンタクロースが波に乗ってサーフィンをして現れたり、ブニョールでトマティーナと呼ばれる祭りが在ったとしても"暑い"ということに変わりはない

正直彼を外に出すのは気が引けるが、たまには外の空気を吸わないと体に悪いとどこかで聞いたことがある気がするので仕方なく承諾をし、私から離れないことを条件に彼と家を飛び出した