前世は両面宿儺の妻だった。【呪術廻戦】

親族 ページ47

悠仁はこれから別に場所で修行を行うらしい。生き返ったことは上に秘密で力をつける。うん、それがいいと思う。せっかく生き返ったのにまたすぐに死んだなんて、こんなに悲しい事はない。


悠仁が生き返ったことは恵達にも秘密だよ。おいおい連絡するからと、五条と別れて野薔薇たちと合流しに行く。段差に腰掛けている二人の空気はどことなく暗い。私に気づいた二人は、お疲れと、声をかけてくれたが、やはり、声も暗かった。


「……虎杖、どうだった？」
「綺麗な死顔だったよ。ほんと、今すぐ目を覚ますんじゃないかってくらい」


本当に覚ますとは思わなかったけど、は心の内に秘めておく。唇を噛む野薔薇、無表情の伏黒、間に私。温度差で風邪を引きそう。ごめんね、教えれなくて。


「虎杖ってどんなヤツだったの？」
「……善人かな。悠仁以上の善人なんて見た事がないくらい、善人」
「そこは昔からだったんだな」
「うん。周りで浮いてた私を友達って言い張って面倒を見てくるくらい」


食えば？お腹すいてるだろ、なんておにぎりを差し出されたあの日を忘れる事はないだろう。旦那様の記憶を思い出してなかった頃の私は、空っぽの人間だった。それを最初に埋めたのは不格好に握られたおにぎり。具はおかか。


「なんだ。いつにも増して辛気臭いな、恵。お通夜かよ」


ポーニーテールの女の人。学ランを着ているから、先輩だろうか。野薔薇が伏黒に聞いていたが、やはり先輩で合っていた。禪院真希というらしい。あとは狗巻棘、パンダ、海外にいる乙骨。……ん？パンダ？


「パンダ？」
「パンダをパンダで済ませるな！」


先輩たちは京都校交流会のお誘いに来たらしい。殺し以外ならなんでも有りの戦い。さすが呪術専門校、血みどろだ。伏黒と野薔薇は出ると、私も勿論参加するが。強い人に鍛えてもらえるなら断る理由はない。悠仁に置いて行かれない為にも強くならなければ。


禪院先輩がこちらを見た。私の周りの呪術師の瞳はみんな綺麗だ。旦那様の次くらいで。こちらを見つめる瞳は何かを探るよう。探っているのは私ではなくて自分の記憶のようだが。


「お前……名前は？」
「桜崎Aです」
「桜崎…？お前、紗南さんの親族か？」
「親族っていうか、娘です」
「………娘！？」


母さんの知り合いだろうか。酷いおどろき様だ。口をハクハクさせている。隣のパンダも似たような反応だ。デカイな、パンダ。

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