瞳に映るは私 ページ5
両面宿儺の側にいて気付いた事がある。それは、両面宿儺は結構甘えん坊だったことだ。何かにつけて飯だの風呂だの寝るだの、欠かさずに知らせてくる。そしてくっついてくるのだ。頭、首、胴体、何処かは必ず触って、満足気に笑う。
呼び方は貴方から旦那様に変わり、一年が経った今も殺される事はなかった。ただ、一度だけ殺されかけたことはある。あの時、私は本当の意味で両面宿儺の全てを愛したのだ。
「おい、どういうつもりだ」
「どういうつもり…ですか？」
家に帰った途端、両面宿儺は私に問うた。壁に押しつけられ、赤い瞳は私を睨んでいる。そんな顔もカッコいい。見当違いなことが頭を過ぎる。仕方がない、私好みの顔しているのが悪いのだ。
「何かしましたでしょうか」
「しらばっくれるな。何故身体に触れられることを許したのだ」
「身体に？」
「さっき家の前で男といただろう」
「あぁ、一郎さんですか」
刹那、頸を絞められた。ギチギチと締まる頸は初対面のことを思い起こさせる。私を見る瞳は怒りの色を表すように赤く、燃え盛っているように感じた。
「俺から逃げる気か」
逃げるってどうして。声を出したいのに、口から漏れる音は言葉にならない。貴方からどうして離れなければならないの。どうして、どうして。
声が出せぬことに気づいたのか頸から手が離れる。ドサリと重力にしたがった身体は床に投げ捨てられた。なんとか両面宿儺に目を向けようと力が入らない腕で起こそうとした顔は、顎を掴まれ無理矢理上を向かされた。
「何故俺以外の男の名を出す。その男に目移りでもしたのか」
「して、おりません」
「なら何故、俺以外の奴が身体に触れるのを許したのだ。答えてみろ」
熱を持たない瞳はいつまでも私を刺す。悲しくてたまらないのだが、嬉しいと叫んでいる心臓があるのも事実。あれ、もしかして嫉妬されてね？んん？嫉妬じゃない？
「何笑っている」
顔に出ていたらしい。顎が割れるような痛みが襲う。しまった、私の表情筋は正直なんだ。頼むからおさまってくれ！表情筋！
「すみません、ただ……嬉しくて」
「嬉しいだと？」
両面宿儺の顔がもっと恐ろしいことになる。顔だけで人を殺せそうだ。そんな表情も好き…
「だって、私は貴方が好きだから、嬉しくて」
「意味がわからん。誤魔化しは効かんぞ」
「誤魔化しじゃ、なくて。貴方の中に、私が存在しているとおもう、と、堪らなくて」
貴方の中には私がいればそれでいい。
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ゆうちゃんンンン(プロフ) - コメント失礼します。この作品を作っていただきありがとうございます。大好きですもし良ければなのですが、前世の記憶が無いバージョン？を作って欲しいなと思っています。自分、悠仁と宿儺推しでして、図々しいと思われるかもしれませんが気が向いたら作ってほしいです (8月2日 13時) (
レス) @page50 id: f5df7aa05f (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 大好きですぅぅ (2022年1月25日 1時) (レス) @page50 id: 639ef9d5fe (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - タイトルがモロ好みで作品も最高でした！最後の蛇足も良かったです！ (2021年6月22日 20時) (レス) id: 36860c259a (このIDを非表示/違反報告)
西 - たまに出る夢主ちゃんのツッコミっぽい口調がとてもおもしろいです。。ありがとうございます。 (2021年3月29日 2時) (レス) id: a86aefda0e (このIDを非表示/違反報告)
宿儺 - 宿儺マジ神かよ♪素敵 (2021年1月20日 19時) (レス) id: c0f52421e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きなこもち | 作成日時：2020年12月19日 15時
