前世も今世も魂に刻まれた愛は変わらない ページ20
連れてこられたのは簡素な作りの部屋だった。椅子と机、窓は一つしかなく電気をつけなければ昼間でも暗い。周りは自然で溢れていて、立地的にも日が入りにくい場所なんだろう。四方にはカメラが付いている。
「好きに座ってよ。ああ、このカメラの映像は上層部に届けられてるから」
「見りゃ分かりますよ」
「いやー、僕もこんな湿っぽいところはどうかと思ったんだけどね。上層部が両面宿儺のなんちゃらで、ここで情報を聞き出せって煩くってって。本人たちはビビって出てこないから、気楽にしてよ」
撮られてるけどそんな事言って大丈夫なのだろうか……どうでもいいか、最強らしいし。多少のことは目を瞑られるんだろう。
適当な場所に座る。悠仁は私の隣、五条は私の真正面に座った。
「なんか三者面談みたいだな」
「お、しちゃう?三者面談」
「俺Aの父親ね」
ふざけるんじゃない。和やかな空気に部屋全体が包まれ、思わず体の力が抜ける。手は繋がれたまま。私の緊張は手のひら越しに伝わっていたのか、体の力が抜けると悠仁は手を握る力を少し緩めた。
「おい小僧。いつまで手を握っているつもりだ」
脳が旦那様の声を理解して、バッ、手を離した。和やかな空気に殺気の篭った旦那様の声はよく通る。
「おや?宿儺。もしかして嫉妬?」
「ふん、俺のものにいつまでも手をつけているのが悪い。おい、早く始めろ。そして早く終われ」
「はいはい…じゃ、始めますか」
和やかな空気から一転、張り詰めた空気が五条から漂う。
「それじゃ、初めに…君は宿儺の何かな」
「……言いませんでしたっけ」
「一応上層部に送るやつだから」
一応じゃないだろ。どんだけ上層部が嫌いなんだ…私も嫌いだが。
「妻ですよ」
「そうだね、その言葉に嘘はないんだろう。でも、そうしたら矛盾が生まれるんだ」
「矛盾?」
「そう、矛盾。悠仁はAの幼馴染なんだよね」
「おう!Aの事ならなんでも知ってる」
「なら、Aが今までこっちの世界とは無縁だったことも知ってるでしょ」
確かに、そう思った。私は記憶を思い出す前は呪霊も見えない一般人で妻である私は前世だ。今世の私が直接旦那様に嫁入りした訳じゃない。魂は変わってないから妻である事は変わらないが。普通、前世の記憶など思いもよらないだろう。
どういう事かな。
五条の目線が私を探るように集まる。ついでに悠仁、面白い顔になってんぞ。少し考えて、私は答え合わせをする様に口を開いた。
正直、どうでもよかった。→←君の行先がどうか幸福で溢れてますように。
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ゆうちゃんンンン(プロフ) - コメント失礼します。この作品を作っていただきありがとうございます。大好きですもし良ければなのですが、前世の記憶が無いバージョン?を作って欲しいなと思っています。自分、悠仁と宿儺推しでして、図々しいと思われるかもしれませんが気が向いたら作ってほしいです (8月2日 13時) (レス) @page50 id: f5df7aa05f (このIDを非表示/違反報告)
ソラ - 大好きですぅぅ (2022年1月25日 1時) (レス) @page50 id: 639ef9d5fe (このIDを非表示/違反報告)
moo(プロフ) - タイトルがモロ好みで作品も最高でした!最後の蛇足も良かったです! (2021年6月22日 20時) (レス) id: 36860c259a (このIDを非表示/違反報告)
西 - たまに出る夢主ちゃんのツッコミっぽい口調がとてもおもしろいです。。ありがとうございます。 (2021年3月29日 2時) (レス) id: a86aefda0e (このIDを非表示/違反報告)
宿儺 - 宿儺マジ神かよ♪素敵 (2021年1月20日 19時) (レス) id: c0f52421e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2020年12月19日 15時