て ページ6
今日は学校に行けない。昨日帰るのが遅かったから、お仕置きをくらった。両親はなんであんなに醜いのだろうか。娘が思い通りにならないと気がすまないなんて、今時流行らないよ。
両親がいなくなったところを見計らって家を出てきた。愛しの君の家はあんなに居心地が良かったから、余計に家の空気が肌に合わなくなった。見つかったらきっと、ただでは済まない。でも、本当に息が詰まって仕方がない。
足は無意識に愛しの君の学校へ向く。中には入れないから、周辺をグルグル回ろう。もし、学校内で何かあればすぐにでも飛び込んでしまうだろう。ない事を祈る。君を苦しめた奴らは死んだらしいが、油断は出来ない。連絡先くらい聞いておけばよかった。変なところで意気地なしだな、私。
駅のホームから出て、学校へ歩く。なんだろう、空気が重い。澱んでいる。もしかして、本当に何かあったのかもしれない。冷や汗が噴き出て、心臓が嫌な音を立てる。駆け足で着いた学校には、何か悍ましい空間に囲まれていた。中で、誰かが暴れている。
結界のようなものはするりと抜ける事が出来た。ただ、入ると出れないようだ。これでは君を逃すことは出来ない。まあ良い、私が最後まで守ればいいんだ。誰かこの異常事態に気付き、応援を呼ぶまで持ち堪えれば私の勝ちだ。探せ、守れ、愛しの君を。なんの為に頑丈に生まれてきた!
音を頼りに校舎を駆け回る。多くの人が倒れていた体育館には君はいなかった。じゃあ、音の先にいるのは君か、まあ誰だって良い。君がどこかで無事ならなんだって良い。
叫び声が聞こえた、愛しの君の声だ。下の階から聞こえる、悲しそうな声。階段を駆け降りる。
先で見たのは、明らかに人外の男に捕まった学ランボーイと、愛しの君。いち早く私に気づいた学ランボーイは目を丸めた。愛しの君と人外はまだ気づいていない。あ、アイツはダメだ。愛しの君から引き離さないと、取り返しがつかない。私の感がそう叫ぶ。
気づいたら体が動いていた。二人の目がこっちを向く瞬間、私は人外目掛けて飛び蹴りを喰らわせていた。体から、湧き出るナニカと一緒に怒りをぶつける。汚い手で綺麗なものに触るんじゃない。
着地の仕方なんて知らないからそのまま床に転がった。君を咄嗟に抱き抱えて、頭を包む。だから、君のダメージはそこまでないはずだ。痛かったらゴメン。
学ランボーイは私が攻撃した拍子で腕から抜け出したのか、そのまま人外と外へ出て行った。
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薆 - もう最高すぎです。読んでて胸がいっぱいいっぱいで、自分に重ねてしまいました。言葉選びも胸に刺さります。泣きそうでしたが、書いてあった「人工呼吸」を聴いて号泣しました笑 (2021年3月28日 16時) (レス) id: 5a8be2f728 (このIDを非表示/違反報告)
海夜海月 - 最高です。泣きかけました。これからも頑張ってください。 (2021年3月24日 1時) (レス) id: 6a4cb75c85 (このIDを非表示/違反報告)
エタニティ(プロフ) - 一気に全部読んじゃいました。この作品に出会えて幸せです! (2021年2月23日 15時) (レス) id: 5dea0f434c (このIDを非表示/違反報告)
七夏(プロフ) - 面白いです!続きを楽しみに待ってます! (2021年1月21日 23時) (レス) id: 716685a2fc (このIDを非表示/違反報告)
綾鷹(プロフ) - 最高です! (2021年1月19日 0時) (レス) id: b3889a91c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きなこもち | 作成日時:2021年1月16日 21時