君の愛を全て頂戴【呪術廻戦】

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「だから、そんなんじゃないって！」



声を荒げる君。苦しそうな顔は、私が原因か。ゴメン、うまく出来なくて、君を苦しめてしまった。でも、君は綺麗だよ。他の誰よりもずっと。



「なんで、君は僕を綺麗なんて言うの」
「君が綺麗だからだよ。初めて、人が綺麗に思えたの」



幼稚な返し方。馬鹿じゃないの。君の手を握ろうとして、やめた。君は綺麗だから、触れない。君には汚れてほしくないよ。君は私の顔を見た。諦めか、怒りか、複雑な感情が入り混じった顔。



「君は、これを見ても綺麗って言えるの？」



前髪、君の顔を半分隠した髪が、どけられる。灯りに照らされて、顔がよく見えた。震えている手までしっかり。複数のタバコの跡までくっきり。目を見開いた私を見て、君はすぐ前髪を戻した。



「言ったでしょ。僕は綺麗じゃないって」
「……れに」
「え？」
「誰にやられたの」



誰が君を苦しめたの。君がずっと浮かない表情をしていた原因はコレか。コレをつけたヤツが原因か。そいつを殺したら、君は笑ってくれるかな。



「ソイツを殺したら、君は笑ってくれる？」
「もう死んでるから殺せないよ」
「じゃあ、どうしたら君は笑ってくれる？」



君が笑うなら、なんだってするから。



「君は、どうして僕なんかの為にここまで出来るの？」



君が俯く。湧き出る感情がそのまま音になった。



「君が、綺麗だから」
「綺麗じゃないって言っただろ」
「じゃあ、君が好きだし、綺麗だから」



ポロ、涙が溢れた。君だけだよ、こんな感情的になれるのも、私が好きなのも。どうしたら、伝わるの。どうしたら、君は笑うの。



「君のためなら、私はなんだってするよ。君が望むこと、全部叶えてあげる」
「答えになってないって」
「私には、君しかいないから、君が私に笑いかけたから、私が君を好きだから、君は綺麗だから」



それじゃ、理由にならないの？



君は君が思うより、ずっと素敵な人だよ。



ぎゅ、君が私を包んだ。心臓が早鐘を打つ。君の心音が聞こえる距離。



「君は、僕と一緒に死んでって言ったら、俺と死ねるの？」
「死ねるよ、君だから。君が望むなら」



君と一緒に死ねるなんてそんな素敵なことはないよ。



だから、それまでは君を守らせて。

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