・(中也さん視点) ページ22
そんなこんなで準備が終わると、「頂きます」と食べ始める。
Aは「･･････美味しい」と目を輝かせていた為、作って良かったと素直に嬉しくなった。
「温かい家族って、こんな感じなんだろうな」
——昨日さり気なく告白した
道のりは長そうだが、やらなければ他に奪われる。
それにしても、今のAの言動から察するとAは家族に良い思い出が無さそうだ。
触れるべきかそうでないか、一瞬言葉に詰まると、Aはちらりと此方を見て苦笑いを浮かべた。
「そう云えば話してなかったのか。まぁ、私は両親に捨てられた身でな。良い記憶が無い訳では無いが、どうしても捨てられた時の雨の冷たさを真っ先に思い出してしまう。昔の事なのに、何でだろうな？」
Aの瞳に一瞬影が差したが、またすぐに普段通りに戻っていた。
きっとAは、痛みを隠してどこまでも強くあろうとする奴なのだ。
ゴールが無くとも、進み続けようとする奴。
「だが、気にするような事でも無いんだ。悪い、変な空気にしたな」
「別に何でも云えば良いだろ。空気なんて気にすんな。俺はAの事が知りてェ、だから全部ぶつけてこいよ」
「優しいな、中也さんは」
穏やかで聞き取りやすい中性的な声がするりと耳に入る。
Aが好きだから全て知りたいと思うのだ、支えたいと思うのだ。
それを優しいと云われると、何となく罪悪感が湧く。
だが一応言葉は受け取っておくべきかと返事を返そうとすると。
「中也さんのそういうところ好きだぞ」
と云った声に遮られた。
「･････っ！？」
友人としてだと分かっていても、僅かに期待する気持ちは否定出来ない。
好きという言葉が頭を回って、離れる様子は全くなかった。
これだからタチが悪い、無自覚が一番危ないというのに。
じっと見つめていると、Aはその視線に気付いたのか、照れ臭そうに頬を掻く。
「まぁ、家族は結局作り上げるものだからな。私もそういう相手が出来たら、穏やかな家庭にしたい」
Aは、先程の話の続きを促していると思ったのか、そんな事を話した。
ならば、"そういう相手"の候補に、俺は居るのだろうか。
「俺を、その相手にしたらどうだ？」
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風と衣(プロフ) - もなかさん» もなか様ありがとうございます！面白いと言って貰えて今とてもニヤニヤしております(笑)今回のオリジナル展開でも中原さんの活躍が出てきますので、どうぞお待ちください！ (2022年9月18日 20時) (
レス) id: 11e2fd2044 (このIDを非表示/違反報告)
もなか - 作品拝啓させていただきました！とても面白かったです！私は中原さん推しなので夢主ちゃんとの絡みの話はニヤニヤしちゃいました（笑）更新楽しみにしています (2022年9月18日 17時) (レス) id: bae08d35f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：風と衣 | 作成日時：2022年9月7日 0時
