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そんなこんなでデパート内を歩き回って数時間。
買う必要がある物は(ようや)く食器類のみになり、現在デザインを見ながらどの食器にするか迷っていた。

「飲食出来れば良いかと思っていたが、結構色んなデザインがあるんだな」

目に付いた物を手に取ってはじっと眺める。

「これとか犬だぞ。つぶらな瞳がなかなか可愛い」

マグカップの側面にゆるい犬のイラストがプリントされた物がぱっと目に入り、手に取ってみた。
気の抜けるような柔らかい絵柄に、少し癒される。

「そうか、可愛い物が好きなんだったな」
「それは忘れて良いぞ」

覚えられているとは恥ずかしい。
マグカップを元の場所に置いて溜め息をつく。

「何故そんなに隠したがる?」
「・・・・・・可愛いだとかそういうのとはかけ離れた生活してたからか、今更感があってな。それに、私に可愛い物が似合うとも思えない」

可愛い物と云ってもキーホルダーやアクセサリーの類など色々あるが、私はそれのどれもを遠ざけてきた。
戦う上で邪魔になるという理由もあるが、自分がいざ着けるとなると不安に感じる。

雰囲気が柔らかい人だったら可愛い物も似合うのだろうが、生憎私はそういうタイプでもなく。
どちらかと云えば、初めは冷たい印象を持たれる事が多い。

それも関係しているのか、自然と遠ざけるようになっていたのだ。

そもそも今までお金も無かったからな。
まぁ、鏡花ちゃんのような癒しが居るのだから、可愛いの補充という面では十分だ。

「うん、これにしよう」

話を変えて、シンプルな落ち着いた色の皿を選ぶと会計を済ませる。
可愛いのも大事だが落ち着きも大事だ。

まぁ、さっきのマグカップに後ろ髪を引かれる思いはするが。
食器の入った袋を受け取ると、その袋を国木田さんに奪われた。

「重い荷物ばかり持つな。それで落としでもしたら来た意味が無いだろう」
「あ〜、良いのか?結構国木田さんに持たせているが」
「構わん」

国木田さんは結局、両手に荷物を抱えてデパートを出る。
外に出ると空は夕焼け色に染まっていて、鳥が淋しそうに横切っていった。

流石に重い荷物を持たせた(まま)歩かせるのは申し訳なかった為、帰りは『鏡世界』で社員寮の前に戻ってくる。

「・・・・・・A、荷物を置くならお前のアパートの前に行くんじゃ無いのか?」
「あ・・・・・・そうだったな」

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 原作沿い , 文スト   
作品ジャンル:恋愛
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風と衣(プロフ) - Rio*さん» ありがとうございますm(_ _)mゆっくりと休ませて頂きます!今コロナ感染も多くなっておりますので、この時期の体調の変化にはお気を付け下さい!コメントは励みになるので、嬉しかったです(*^^*) (2022年7月14日 9時) (レス) id: 11e2fd2044 (このIDを非表示/違反報告)
Rio*(プロフ) - しっかり休んでくださいね😢ご自分のペースで更新頑張ってください!! (2022年7月14日 0時) (レス) id: 31d091d700 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:風と衣 | 作成日時:2022年7月10日 0時

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