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「Aちゃんは壊れそうで危ういね」
斜め前に座っている太宰さんが、敦くんとの遣り取りを聞いてかそう呟いた。
「焦らなくて良い、無理に前を向こうとしなくて良いのだよ。君が思っているよりも、時間は
「!」
太宰さんは心の中を読んだかのような事を云う。
私の目を見て落ち着いた声で話す言葉は、頭にすんなりと入っていった。
「話してくれてありがとう。だが無理しすぎなんだ、Aは」
その時、ぽんと肩に大きな手が乗る。
やはり安心するその手は、国木田さんのものだった。
「Aは俺に休めと云う時があるが、俺からしたらAも大概だぞ。一人で抱えるな」
「・・・・・・私の居場所は探偵社にある。それと、心配する仲間が居ることを忘れるな、だったか」
前に国木田さんが云っていた言葉を思い出していると、国木田さんが驚いたように目を見開いた。
「!覚えてたのか」
初めの頃に、国木田さんが私の居場所は探偵社だと断言してくれたから、今、私は自信を持って居場所は此処だと云えるようになったのだ。
自分にとって大切な言葉は、ちゃんと記憶の中に大事に残している。
「あぁ。何だか懐かしく感じるな。だが済まない、あの時は迷惑をっ——」
言葉の途中で軽く頭に手刀を落とされる。
「謝るな。必要ない」
国木田さんは呆れたように溜め息をついて、私をじっと見つめる。
だが、夜遅くに起こした上に過呼吸の処理をさせたのだ。
しかも、居候中に。
謝る以外に何をすれば良いのだろう。
・・・・・・そういえば、似ているようで対極の言葉があったか。
「有難う」
「あぁ。・・・・・・A、よく頑張ったな」
国木田さんは、今度はちゃんと受け取ってくれた。
頭をぽんと撫でられる。
その手は暖かくて、胸の裏が
どうしてこんなにも皆優しいのだろう。
私には勿体なくて、眩しくて、だがとても居心地が良い。
「Aちゃん。少しは楽になったかい?」
「あぁ」
国木田さんと話している間にいつの間にか右隣に座っていた太宰さんは、私の頬に手を当てて顔を覗き込む。
何故、見つめられているのだろうか。
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風と衣(プロフ) - Rio*さん» ありがとうございますm(_ _)mゆっくりと休ませて頂きます!今コロナ感染も多くなっておりますので、この時期の体調の変化にはお気を付け下さい!コメントは励みになるので、嬉しかったです(*^^*) (2022年7月14日 9時) (レス) id: 11e2fd2044 (このIDを非表示/違反報告)
Rio*(プロフ) - しっかり休んでくださいね😢ご自分のペースで更新頑張ってください!! (2022年7月14日 0時) (レス) id: 31d091d700 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風と衣 | 作成日時:2022年7月10日 0時