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中也さんは少しだけ距離を離して、頭に回していた手で今度は私の唇に触れた。
じっくりと教え込むように、反応を楽しむように唇の上を指でなぞられる。

(くすぐ)ったい何とも云えない未知の感覚に余計に羞恥心が煽られ、(からだ)中の血が顔に集まっていった。

「タガが外れたら、奪われても可笑しくねェぞ。Aは見てて危なっかしいんだよ」

中也さんはそこまで云うと手を唇から離した。
心臓のどくどくという動きが、やけに大きく感じられる。

「・・・・・・それを、教えた、と?」

出てきた声は震えていた。
同時に喉の渇きを覚えてグラスを握るが中身が無く、諦めて中也さんを見つめる。

「好きに解釈しろ。(ただ)、他の誰にも奪われんじゃねェぞ」

そう云って座り直す中也さんの横顔は、赤みがかった薄暗い照明の下でも分かる程に真っ赤に染まっていた。
それにしても、教えるのならわざわざ行動に移す必要無かったのでは。

未だ混乱状態の私を横目に、中也さんはアプリコットフィズを一口——(いや)、やけになったのか一気に飲み干した。

「中也さん!?」

考え事が全てその行動に持っていかれた。
そして更にカクテルを追加で注文しだす。

シルヴィアというカクテルと共に、私の分なのかエンジェルキッスというデザート系のカクテルが運ばれた。
流石に(まず)いと思ったのか、バーテンダーさんが中也さんのカクテルと一緒に水を用意してくれる。

これは今日も酔い潰れるパターンか。
ちょこちょこと中也さんに水を飲ませながら、私もエンジェルキッスを飲み進める。
生クリームの濃厚な味わいにチョコレートの甘みが優しく混ざり合い、最後にアルコールの風味が抜けていく。

甘い物を飲むと安心感があって良いが、私もまた眠たくなってきた。
帰りが拙いなと隣を見ると。

「まだ飲めるよなァ」

中也さんが暴走しかけていた。
これは、早速住所の書かれたメモを頼る事になりそうだった。

お酒のメモです→←・



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 原作沿い , 文スト   
作品ジャンル:恋愛
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風と衣(プロフ) - Rio*さん» ありがとうございますm(_ _)mゆっくりと休ませて頂きます!今コロナ感染も多くなっておりますので、この時期の体調の変化にはお気を付け下さい!コメントは励みになるので、嬉しかったです(*^^*) (2022年7月14日 9時) (レス) id: 11e2fd2044 (このIDを非表示/違反報告)
Rio*(プロフ) - しっかり休んでくださいね😢ご自分のペースで更新頑張ってください!! (2022年7月14日 0時) (レス) id: 31d091d700 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:風と衣 | 作成日時:2022年7月10日 0時

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