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「それは?」
「ウイスキーフロートだ。綺麗な色だろ?」

私はそのグラスに少し顔を寄せ、じっと中の液体を見つめる。
上層の琥珀色がゆらりと揺れて、少しずつ透明な液体と混ざっていく様子は、スノードームでも見ているかのような美しさだった。

それにしても、よく混ざる事なく綺麗な層をつくれるものだ。

「そういや、Aの瞳の色と同じだな」

その言葉に思わず中也さんに視線を向けると、引き寄せられるかのように目が合う。
そして中也さんはグラスの中の琥珀色と見比べて頷いたかと思うと、無邪気な笑顔を浮かべた。

「やっぱり綺麗だ」
「・・・・・・!そうだな」

少しだけ、びっくりした。
真っ直ぐに目を見て()われたら、勘違いしそうになる。
これは別に自分に云われた訳では無く、お酒の事を云っているのだろうが。

「甘いのとさっぱりしたの、どっちの気分だ?」

動揺した私を横目に、中也さんはなんて事無さそうに私に問いかけてくる。
だが、その口角が楽しげに上がっているのを見逃さなかった。

(いや)・・・・・・だが、ここで「確信犯か?」などと直球で聞ける筈も無い。
多分これは気の所為だ。

私は気になる気持ちを抑えて、謎の敗北感を感じながらも中也さんの問いに答えた。

「さっぱりした方だな。甘いのも好きだから気になるが、まずはさっぱりした物から飲んでみたい」
「分かった」

そしてジントニックというらしいお酒をバーテンダーさんに頼むと、すぐに用意されたグラスが私の前に置かれる。

「誕生日祝いに今日は奢るぜ。これはジントニックだ。他のカクテルよりは比較的度数も低いから、飲みやすい筈だ」
「有難う。中也さんに教えて貰うなら間違いないな」

今日飲むお酒は全部中也さんに任せてある。
初めてだとお酒への強さも分からない状態で、いきなり強いお酒を頼む可能性がある為、それなら初めから中也さんに任せようという結論に至ったのだ。

今日は中也さんに甘えっきりになるな。
初めてのお酒に若干緊張しながらも、目の前のグラスを傾けて液体を口に含む。

ジントニックは、ハーブのような華やかな香りが鼻を抜け、ライムの酸味とソーダの爽快さによってさっぱりとした爽やかな味だった。

その中にもほのかに苦味と甘味が漂い、それだけの要素があるにも関わらず、しっかりと調和がとれている。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 原作沿い , 文スト   
作品ジャンル:恋愛
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風と衣(プロフ) - Rio*さん» ありがとうございますm(_ _)mゆっくりと休ませて頂きます!今コロナ感染も多くなっておりますので、この時期の体調の変化にはお気を付け下さい!コメントは励みになるので、嬉しかったです(*^^*) (2022年7月14日 9時) (レス) id: 11e2fd2044 (このIDを非表示/違反報告)
Rio*(プロフ) - しっかり休んでくださいね😢ご自分のペースで更新頑張ってください!! (2022年7月14日 0時) (レス) id: 31d091d700 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:風と衣 | 作成日時:2022年7月10日 0時

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