・(過去編) ページ22
「珍しい
仕草も性格も、長く過ごせば移っていく。
もしやと思って発した師匠の言葉を、男は笑みを浮かべてはぐらかした。
だが、それは無言の肯定というものだ。
推測が正しいと悟った師匠は、僅かに顔を歪めて銃を握り締める。
「
「居ないよ」
師匠が云った瞬間、男は
その男の動きを見た師匠は、苦虫を噛み潰したような顔をして重々しく溜め息をついた。
「はぁ、居るんだな」
嘘をつく時といえば、そわそわするというのが有名だが、逆に動きが無くなるのも怪しい。
普通、人間がリラックスしている時は躰の何処かしらが動くものだが、それが無くなったとなると、動揺や緊張したということ。
それに、嘘をつき慣れた人間ほど嘘をつく時に目を逸らさない。
つまり、真っ直ぐに師匠を見ていた様子は、躰が動かなくなったのと合わせて考えると、男の言葉が嘘だと判断するのに十分だった。
「くそっ、何の為にAを街に出さないようにしていたと・・・・・・!」
師匠はぼさぼさの髪を手で更に掻き乱す。
Aを街へ連れ出さなかったのは、翠髪の男に見付けさせない為だった。
翠髪の男は、師匠の記憶の中でも戦闘において非常に厄介な人物。
その上師匠は、翠髪の男がAに対して異常に”執着”している事を知っている。
何時しか翠髪の男の部屋の至る所に貼り付けられるようになったAの写真が、師匠の頭を掠めた。
だからこそ、Aを逃がそうとしていたというのに、その男とAが出会ってしまったというのだから、師匠の中では一番最悪な事態だろう。
「ちぇっ、聡いな。じゃあこれからする事も理解してくれないかな?」
男はパンと手を叩く。
それを合図に武装した屈強な男達がぞろぞろと出てくるのを見て、師匠は冷静に銃を構え直した。
冷たい風が躰を撫でていく。
「ちゃんと報酬は貰ってるからね。指示通り貴方を足止めするだけさ」
月すら姿を表していない夜空の下、音楽のように途切れる事無く銃声が鳴り響き始めた。
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風と衣(プロフ) - Rio*さん» ありがとうございますm(_ _)mゆっくりと休ませて頂きます!今コロナ感染も多くなっておりますので、この時期の体調の変化にはお気を付け下さい!コメントは励みになるので、嬉しかったです(*^^*) (2022年7月14日 9時) (レス) id: 11e2fd2044 (このIDを非表示/違反報告)
Rio*(プロフ) - しっかり休んでくださいね😢ご自分のペースで更新頑張ってください!! (2022年7月14日 0時) (レス) id: 31d091d700 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:風と衣 | 作成日時:2022年7月10日 0時