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「そうだ、もう一つ贈りたい物があるのだけど」

太宰さんは席を立って何かを取りに行く。
そして戻ってきたかと思うと、目の前にひらりと花弁が舞い、花束が差し出された。

予想外の事に少し固まったが、ここまで用意してくれていたのだと思うと暖かい気持ちになって、「有難う」と大事に花束を受け取った。

薄い花びらが幾重にも重なる可愛らしい花と爽やかな香りの広がりボリュームのある花が目を引く花束を見て、頭の中にある花達の図鑑をぱらぱらとめくる。

「可愛いな。ところで、こ、これって花言葉知っていて渡してるのか?」

ピンクのラナンキュラスは『飾らない美しさ』、黄色のヒヤシンスは『あなたとなら幸せ』という意味を持つ。

ラナンキュラスの方は単純に褒められていると考えても良いが、ヒヤシンスの方はどう考えれば良いのか。
だが花言葉を気にしていない可能性もあるし、知っていたとしても普通に仲間としての意味の可能性もある。

気にする必要は無いのかと思い始めた時、芋ずる式にマカロンをあげる意味を思い出した。

『あなたは特別な人』

いよいよ太宰さんが意味を知っているのかどうかが、無視出来ない問題になってしまった。

「そこはAちゃんの想像に任せようかな」

太宰さんは掴みどころのない笑顔で首を傾げる。
見慣れたその態度が、今の私にはもどかしくて心が乱れる原因だ。

これだけ女性と関わっている太宰さんであれば、意味を知っている可能性も高いが、それだと私は告白紛いの事をされている事になる。

否、だが特別な人というのは恋愛的な意味では無い可能性もある訳だ。
あれだけ美人さんと関わっているのだから、わざわざ私を選ぶ理由は無いよな。

「ちょっと抜け出そうか」
「なっ、え?」

太宰さんは、私の花を支えていない方の手を両手で包んで悪戯っぽく笑う。
だが、ちらりと応接間の仕切りを見たかと思うと、両手を離して困ったように眉を下げた。

「と、云いたいところだったのだけど、Aちゃんを連れ出したら怒られそうだ」
「当たり前ですわ!私達だってちゃんと用意してますのよ?」

太宰さんが云い終わるが早いか、仕切りの裏からナオミちゃんが頬を膨らませて出てくる。
その後ろで、谷崎くんや敦くんが顔を覗かせていた。

目が合うと軽く手を振ってくれた為、手を振り返していると、ぽすりと私の腰に誰かが抱きつく。
可愛いと思わず口に出しかけて、理性でそれを何とか押しとどめた。
勿論、相手は鏡花ちゃんだ。

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設定タグ:文豪ストレイドッグス , 原作沿い , 文スト   
作品ジャンル:恋愛
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風と衣(プロフ) - Rio*さん» ありがとうございますm(_ _)mゆっくりと休ませて頂きます!今コロナ感染も多くなっておりますので、この時期の体調の変化にはお気を付け下さい!コメントは励みになるので、嬉しかったです(*^^*) (2022年7月14日 9時) (レス) id: 11e2fd2044 (このIDを非表示/違反報告)
Rio*(プロフ) - しっかり休んでくださいね😢ご自分のペースで更新頑張ってください!! (2022年7月14日 0時) (レス) id: 31d091d700 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:風と衣 | 作成日時:2022年7月10日 0時

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