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ページ15

「A」

グラスの中身が無くなり、飲み物を取ろうとしたタイミングで、国木田さんに声を掛けられた。
何だろうかと振り向くと、小箱が二つ差し出される。

「誕生日プレゼントだ。受け取れ」

国木田さんはそれだけ云うと、そわそわと落ち着きなく視線を彷徨わせた。

「!良いのか?ありがとう」

素直に受け取ると、国木田さんは安心したように力を抜く。

「開けても良いか?」
「構わん」

了承を得たので開けてみると、片方は国木田さんと買い物に行った時に見ていたマグカップだった。

「最後までそれと迷っていたようだったからな」
「可愛い・・・・・・ありがとな」

わざわざ買っておいてくれたのだろうか。
国木田さんがこのマグカップを買っている様子を想像すると、可愛くて和む。
くすりと笑いながら箱の中に丁寧に戻すと、もう一つの箱の方も開いてみた。

「これは・・・・・・」

出てきたのは私の目と同じ色をした細長いリボンだった。
恐らく、髪に着ける物だろう。

「オマケだと思ってくれて良い。その・・・・・・Aに似合うと思った」

国木田さんは真横を向いて照れくさそうに云う。
折角だからとその場で髪に着けると、国木田さんがちらりと私に視線を向けた。

「ど、どうだ?」

やはり恥ずかしさはありながらも聞いてみると、国木田さんが目を見開いて固まる。
石像にでもなったかのようだ。

「か・・・・・・」
「か?」

首を傾げると、国木田さんは意を決したように口を開いた。

「かわ——」
「何やってるんだい?」

太宰さんが突然国木田さんの後ろから顔を出して、国木田さんの言葉を遮った。

「なっ、だ、太宰!!」
「狡いよ国木田君!Aちゃんとリボン色違いなん——」

慌てているらしい国木田さんが太宰さんの口を押さえる。
もごもごと言葉になっていない音とじたばたする音が騒がしく響いていたが、この戦いは太宰さんが勝った。

「これは図星だね。国木田君も中々やるじゃないか」

太宰さんは唇を尖らせて不満げに溢すと、国木田さんは溜め息をついて「嫉妬か」と呆れたように返した。

前に逆の立場でのやり取りを見たな。
確か太宰さんと逢瀬(デート)(?)に行った後だったか。

「そうだよ」
「え?」

否定しないのだろうか。

太宰さんは平然とした顔で云うと、「こっちに座りなよ」と私の手をぐいぐいと引いて応接間のソファに誘導する。
そして飲み物は新しいグラスに入れて、机の上に二つ並べ、向かい合って座った。

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作品ジャンル:恋愛
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風と衣(プロフ) - Rio*さん» ありがとうございますm(_ _)mゆっくりと休ませて頂きます!今コロナ感染も多くなっておりますので、この時期の体調の変化にはお気を付け下さい!コメントは励みになるので、嬉しかったです(*^^*) (2022年7月14日 9時) (レス) id: 11e2fd2044 (このIDを非表示/違反報告)
Rio*(プロフ) - しっかり休んでくださいね😢ご自分のペースで更新頑張ってください!! (2022年7月14日 0時) (レス) id: 31d091d700 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:風と衣 | 作成日時:2022年7月10日 0時

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