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「特級だかなんだか知らないし、私は貴方が誰を殺そうと知ったこっちゃない。だけど、貴方みたいなのが彼の心を笑ってはならないことは確かだよ」
水巫は恐れずに、呪いの王に強気な姿勢を見せる。
宿儺はそれを楽しんだ。彼ほどの強さにもなると、皆、自分の命可愛さに愚かに反論しなくなったのだ。
「彼が死を恐れたのは真っ当なことで、死者がそれを笑うのは許さない。
___死を恐れることは生者の特権なんだから」
宿儺はくっくっくっと笑う。
「水巫とか言ったな。貴様のように恐れることなく俺に噛み付いてきた奴は数百年振りだ。
元からそのつもりはなかったが貴様は殺さずに生かしておいてやろう。ただし、全員を目の前で殺してやる。その時お前はどんな顔をするんだろう、
___なぁ?!」
宿儺が先制攻撃を水巫に仕掛ける。彼の拳が再び彼女の鳩尾を捉えた。
しかし、水巫も馬鹿ではなかった。
動じることはなく、自らの懐に入り込んできた宿儺の手首を掴むと、そのまま自身の身体の横に滑らせる。
さらに宿儺がバランスを崩したのを見て、水巫は無駄のない動きで両手の人差し指と親指を合わせる。
すると二人の間に大きな水の塊が現れる。
それが宿儺の身体を包むと、その水の球体は圧縮された。
当然、まだ呪術を扱える様になって間もない水巫の攻撃は、宿儺にとっては赤子のようなものですぐに壊されたが、水巫は十分に間合いを取ることに成功する。
「恵!!」
水巫は振り返らず、背後にいる頼りになる友人に合図する。
伏黒は鵺を呼び出して宿儺の懐へ突っ込んで行く。
伏黒が虎杖の身体に拳を決めようとする。
しかし宿儺は余裕の笑みを浮かべて「もっと呪いを篭めろ」と言うと、容赦なく伏黒の顔を殴った。
しかし、それと同時に「大蛇」を宿儺の足元に呼び出す。
地面から天に向かって真っ直ぐに現れた大蛇はそのまま宿儺を咥えて伸びていく。
さらにそこに、先程召喚した鵺が迫っていた。
「畳み掛けろ!!」
伏黒は式神たちに指示を出す。彼らもそれを従順に遂行しようとした。
「言っただろう」
しようと、した。
絶対に決まる。そう思われた式神たちの技は、式神たちの身体を裂かれることで阻まれた。
少しだけなら、虎杖を助けるだけならこの呪いの王にも勝てる。そう思っていた二人は唖然として、ゆっくりと空から降りる悪魔を眺めていたら
「広く使おう」
宿儺は笑っていた。
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佐藤れい(プロフ) - 林檎さん» 感想ありがとうございます…! とても嬉しいです、まだ明かされていないことも多くてむず痒い点もあると思いますが、それも込みで今後も楽しんでいただけると嬉しいです! これからもよろしくお願いします! (2020年11月28日 10時) (レス) id: 4f8cc240de (このIDを非表示/違反報告)
林檎 - こんな夢主ちゃん待ってました。すごく面白いです。シリアスが儚い雰囲気の夢主ちゃんにぴったりで素敵です。更新頑張って下さい、応援してます。 (2020年11月28日 0時) (レス) id: 67c87e380d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐藤れい | 作成日時:2020年11月22日 18時