初夏の思い出 ８-１ ページ1
夏が近づいてきた日の公園で、私は偶然にも君を捕まえていた。
「アカリちゃんは本当にポケモンが大好きだねぇ」
そう言いながら、ヤドンを連れている近所のおばあさんであるヨミさんはニコニコと笑う。公園の近くには川があって、よくヤドンを連れて夏は川で遊ばせている……と言うよりも、まったりさせている。暑いからね。
「……そうかと聞かれたらそうですね、たぶん」
「やぁ〜ん」
極楽じゃ〜と言うように、おじさんみたいなポーズで川の水に浸かるヤドンを見ていると「こういう時ははっきり言うものよ」と日傘をさして隣に座るヨミさんは言う。
「小さい子はみんな、カッコイイポケモンや可愛いポケモンが大好きでしょう？」
「でも、ヤドンも可愛いですよね」
「そうだけれど、あんまり動かないじゃない。子供にはじっと見ているだけじゃ飽きちゃうもの、それにアカリちゃんはよく色んなポケモンを見ていたり撫でたり……ポケモンに好かれていたりするから」
そう言われ「確かに」と思いながら後ろを振り向く。後ろにはイーブイとピカチュウ、それからこの辺りでは珍しいアブソルを連れた子供達が楽しそうにボールで遊んでいて、キャッキャと楽しそうにしている。
するとボールがこっちへ飛んできて、ボールをキャッチするとピカチュウがやって来る。このピカチュウは……よく見るとシッポがハート型だ、女の子か。
「ピカ！」
……可愛いな、キミものすごく可愛いな。
そう思いながら私はボールを渡すと、頭を撫でる。
「ピカーっ！」
嬉しそうにしながらピカチュウはボールを持っていく様子を見て、今日も平和だな〜と思いながらヤドンを見ていると、川からいきなり高く飛びすぎて砂利の上に落ちてしまったコイキングが現れた。ビチビチと跳ねながら「コココココっ！！」という鳴き声を発している。
さぞ河原の上は水中より苦しいだろう、私は跳ねるコイキングを川に投げ入れると、コイキングは嬉しそうにまた跳ねて、高く跳ねすぎた結果、私のすぐ後ろにカムバックしていた。
お前、さてはワザとやった訳じゃなかろうな？
それからコイキングを川に戻したり、また跳ねて今度は狙ったかのように私の目の前にまた戻ってきたり。絶対にワザとだ、このコイキング。
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作者名：水性さん | 作成日時：2022年6月3日 21時
