今日:10 hit、昨日:1 hit、合計:2,686 hit
小|中|大
第五話 ページ5
「A、いないの?」
自分を呼ぶ母の声に、Aは現実に引き戻される。
台所からAを呼んでいた母は、Aを見るとにっこり微笑んだ。
「時透様の具合はどう? 完治していないみたいだったから気になって。」
「時透様は大丈夫だと仰っていたけれど………。」
あの日の夜のことについて、父母はAのことを一切責めなかった。
時透に何度もお礼を言うだけで、怒ることをしない。
母はむしろ、買い出しを頼んだ自分に責任があると泣いていた。
(もう絶対、夜に外なんて出ないから。ごめんなさい、お父さん、お母さん。)
「でも骨に
自身の子どもを気にかけるような口調で、母が言う。
その言葉で、回想に飛んでいたAはまたもハッとし、そうだねと返した。
「後でまたお薬と包帯を持っていかないと。」
あの日街まで行って買った薬品類を棚から取り出して、Aは母にそう言った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
8人がお気に入り
8人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夢見草 | 作成日時:2021年1月2日 15時