今日:6 hit、昨日:1 hit、合計:2,682 hit
小|中|大
第二十三話 ページ23
"最終局面"
鬼殺隊は、鬼の始祖に勝利した。
多くの人々の命と、引き換えに。
「時透、さん。」
彼の安否は、未だ知らされていない。
必ず帰ると、約束してくれた彼。
また会いに来ると、言ってくれた彼。
そんな彼がここに来たことは、あの日から一度もない。
それでも。
私はきっと、貴方を待ち続ける。
今もまだ鮮明に残るあの声で、貴方は言ったから。
『約束ね。』
そう笑った貴方の顔が、あまりにも綺麗で、優しくて。
「時透さん。」
貴方は今、何をしているのでしょうか。
どこかできっと、生きていてくれていますよね。
ほんのり霞んだ空に、私は右手をそっと伸ばした。
そして私は、かつて彼とそうしたように、小指を空に絡める。
「約束です。」
-
少女はふわりと微笑んで、その腕をゆっくりと下ろす。
そして立ち上がると、自分を呼ぶ声に導かれるように歩き出した。
朝の爽やかな風が、少女の頬を一つ撫で、消えていった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます
8人がお気に入り
8人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:夢見草 | 作成日時:2021年1月2日 15時