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第二十三話 ページ23

"最終局面"



鬼殺隊は、鬼の始祖に勝利した。


多くの人々の命と、引き換えに。




「時透、さん。」




彼の安否は、未だ知らされていない。




必ず帰ると、約束してくれた彼。


また会いに来ると、言ってくれた彼。


そんな彼がここに来たことは、あの日から一度もない。









それでも。



私はきっと、貴方を待ち続ける。



今もまだ鮮明に残るあの声で、貴方は言ったから。




『約束ね。』




そう笑った貴方の顔が、あまりにも綺麗で、優しくて。




「時透さん。」




貴方は今、何をしているのでしょうか。



どこかできっと、生きていてくれていますよね。






ほんのり霞んだ空に、私は右手をそっと伸ばした。



そして私は、かつて彼とそうしたように、小指を空に絡める。



「約束です。」






-






少女はふわりと微笑んで、その腕をゆっくりと下ろす。



そして立ち上がると、自分を呼ぶ声に導かれるように歩き出した。




朝の爽やかな風が、少女の頬を一つ撫で、消えていった。

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作者名:夢見草 | 作成日時:2021年1月2日 15時

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