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第二十話 ページ20

Aの返事は、とうに決まっている。



そして、それは時透も。



(私の返事なんて、わかってるんだろうな。)



きっともう、バレているだろう。




"好きです"




今すぐにでも、伝えたい言葉。



それを、時透が拒んだのは。




(優しいなぁ………。)




いつ消えるか、わからない命。



明日の命も保証されない身で、永遠は誓えない。



それでも時透は、



必ずまた会いに来ると、その時までずっと、変わらず好きでい続けると、



そう言ってくれているように、Aには感じられた。





一筋零れた涙を、手の甲で拭う。



「はい。私と会うまで、絶対死んじゃ駄目ですよ。」


「うん。」




「約束です。」


「うん。」






それは、とても儚い約束。



いつ壊れるかわからない、もろい契り。



けれど、それでも良かった。



二人はお互いの小指を絡め合う。



「約束ね。」




そう言って時透は、今まで見たどんな表情よりも綺麗に、Aに笑いかけた。

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作者名:夢見草 | 作成日時:2021年1月2日 15時

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