No.10 ページ10
「スイサイドリーム」
楓はぽつりと言葉を漏らした。
雛、貴、聖の3人が側の床に座り、話を聞く。
聖の不思議な能力のお陰で貴は無事に平常心に戻った。
「水彩町、ここは選ばれた者しか来られない場所」
楓の話によると、
水彩町は「とある特殊な能力」を持つ人が神によって選ばれ、
まるで最初からこの町に住んでいたかの様に生きているらしい。
そして、小さい頃に選ばれてやって来た人の高校3年間は
能力の活性化を図る為に植物の様になってしまうらしい。
水彩町に雨が降らないのは、神に悲哀の感情が無いから、と楓は言う。
「楓センパイ、僕の能力は人の精神を落ち着かせる、なんですかね」
「キミの能力はそうだね、「ドクター・マジック」」
ドクター・マジック:あらゆる人の精神を落ち着かせる事が出来る
楓はぼそりとそう言った。
聖は眼をきらきらと輝かせて楓の話を聞いた。
まるで初めて蟻を見た幼児の様だった。
「ちなみにわたしの能力は「パラサイト・ピース」。
相手の能力を知れると同時に、そいつの能力を使う事が出来る。
まぁ、その能力は平和の為にしか使えないんだけどねー」
楓は唇を尖らしながら、ごろりとその場に寝転がった。
たゆん、と豊満な胸が雛の目の前で揺れる。
雛は誰にも気付かれないように舌打ちをした。
「私の能力は」
貴が恐る恐る、といった様子で手を挙げた。
楓はまだ寝転びながら貴の顔をじっと見つめた。
「うん、貴の能力は「スーサイド・フォー・パートナーズ」だね」
「何ですかそれ」
「いざという時、キミはパートナーに命を捧げる事でパートナーは敵に
確実に打ち勝つ事が出来るっていう意味の分からん能力」
「ちょっと説明も何言ってるか分からなかったです」
楓に向かって何故か律儀に受け答えをする貴の姿を横から
雛は眺めていた。
何で男子2人に挟まれて座っているのだろう。
隣の笠の少年からの視線が痛い。
「雛ちゅわーん、キミの能力はこの中で1番重宝されるんだー」
「ほんとに、こんな地味なひよに?」
突然そう言われて、雛は眼を丸くした。
楓は構わずに続ける。
「キミの能力は「世紀の表現者」」
楓は雛の低い鼻に人差し指を付けて囁いた。
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