No.15 ページ15
「アガめられるソンザイ」
水彩町での勇者は、「逃走者(エスケープ)」と呼ばれる。
逃走者は、水彩町の隣の町から逃げてきた人の事を言う。
隣町は「監獄」と呼ばれていて、水彩町の「秘密」を知ってしまった人が
誰にも知られずに連れていかれるところらしい。
なので、そこから逃げてきた人は水彩町の秘密を知っている
(情報を持っているから)崇められている。
逃走者にはそれぞれ番号が付けられている(本人の好きな数字)。
番号の横には逃走者のマーク(棒人間が走っている様なデザイン)。
逃走者は皆、監獄で髪を切られ、男子の様な短髪にされる。
左耳(もしくは両耳)にイヤーアクセサリーを付けなければならない。
逃走者は運動が出来て、特殊能力を持っている人が向いている。
町の人々からの頼み事をクリアしていかないといけない。
(しないと嫌われる、すると好かれる)
雛は楓が言った事を紙に書いた。
語彙力が無さ過ぎる、と彼女は頬を掻いた。
「何でこんな事知ってるんですか、これこそがこの町の秘密では」
貴は敬語で楓に聞いた。
雛と聖もいかにも興味津々、という様子で眼を輝かせた。
いよいよ核心に近付いたかな、と雛は髪を掻き上げる。
「いやー、わたしはホントーに逃走者だから、
わたしはホントーにこの町の秘密知ってるから」
「はあ?」
楓がへらへらとしてそう答えると、聖が声を上げた。
彼の目付きが変わり、肉食獣の様に鋭く、刺し通す様な眼光になった。
「じゃあセンパイ、楓センパイは雛センパイ達みたく
3年間の眠りは取ってないんですか?」
「寝てなーい、よ」
「センパイ、」
聖は眼を閉じた。
楓の顔が引き釣った。
聖は再び眼を開くとにこりと笑った。
「楓センパイ、っふふ」
意味深げに微笑んだ聖の瞳は不思議な程、揺らいでいた。
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