髪飾り【鬼滅の刃】 (ページ7)

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ごページ7

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なんだ…焦げ臭い…

一ノ宮家の屋敷にもう直ぐ到着する手前で、焦げ臭いが俺の鼻を掠めた。燃えている？火事か何かか？

そう予想し走る速度を速めると、屋敷内の藤の花が焼き尽くされた跡が目に入った。沢山あっただろうに、全て焼かれている

それに、鎹鴉の死体

藤の花が焼かれている、鴉が殺されたということは…まさか

急いで屋敷の中に飛び込むと、西洋造りに統一された内部が血塗れになっていた。床には使用人と思われる死体が沢山転がっている

あらゆる部屋という部屋を探索するが生きている人間は見つからない。とうとう二階の最後の部屋に行き着いてしまった

意を決して扉を開ける。娘と思わしき可愛らしい部屋。そこには部屋に似つかわしくない血溜まりがある。ただ、死体は無い

｢うっ…うう…｣

耳を澄ますと聞こえる女の泣き声。寝台へ目をやると、そこには蹲りながら肩を揺らし泣いている女が居た。髪飾りがシャラシャラと揺れている

あれは…間違いない、昔俺が贈った髪飾りだ

ならあの女は…A、なのか…？

この歳になっても未だ引きずっているあの頃の恋心を胸に抱きつつ、Aに近づく。俺のことを覚えているだろうか

期待と不安がある中、声を掛ける

｢…A｣

｢…え｣

鼻を啜りながら振り返るA

その瞳には

｢…ど、どなたですか｣

上弦・陸の文字

｢…A｣

｢あの、わっ｣

考えるよりも体が動くとはこういう事なのか

気付いたら俺はAの手を握っていた

｢俺は冨岡義勇だ。その髪飾りを贈った。覚えていないのか｣

｢え、え、あの、私…｣

''記憶がないんです''

そう悲しそうに話すAの言葉に、俺はただただ棒立ちになった。表情も動かなければ、出てくる言葉も無い

そんな俺を不思議そうに眺め、泣いて充血した目が腰にある俺の刀へと向く

｢…鬼殺、隊…私を、殺しに来たんですか｣

｢…少なくとも俺は殺さない｣

何故ならAは人を喰っていない。口元に血はないし、血溜まりには衣服が散乱していない

それに加え理性がある。どういうきっかけで理性を保っているのかは分からないが、言葉を喋る分禰豆子よりも安定性がある

…そしてまだ俺は、Aが鬼になっているという事実が受け入れられていない

十数年ぶりの再会が、こんなにも最悪になるとは思ってもいなかった

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