初めての恋は ページ10
“好き”
なんて言葉、久しぶりに私の脳内に浮かんだ。
…好きにも、いろんな種類があるのは知っていると思う。
友達としての好き、家族としての好き、憧れの人としての好き。様々だ。
…だけど、恋愛としての好き、は。
私が今まで一度も抱いてこなかった感情だ。
そして今、この状況になって。
『(私…)』
…気付いていないわけではなかった。いや、気付かないふりをしていた。
五条が助けにきてくれた時に、不意に全身の力が抜けてしまったのは。
ただの安堵とか安心感とか、そんな単純なものではなく。
…胸がしめつけられるような。それでいて、もどかしいようなそんな感覚で。
────あぁ、そうか
『(私…恋、したのか)』
…初恋。
そう、私は初めての恋をしたのだ。
雰囲気に流されたとかそういう訳ではなく、自然に、好きになっていたのだ。
そう自覚したと同時に様々な感情が溢れてくる。
…なに、これ。
苦しいようでどこか甘くうずくような。でも決して不快感とかそんなものは感じない。心地いいような、でも少し胸が痛むような。そんな変な感じ。
…そっか。私、五条の事好きになっちゃったのか。
仲間としてとか、級友としてでなく、1人の異性として。
『…ガチかぁ〜……』
「は? 急になんだよ」
『…なんでもない。ただの独り言』
そう言って私はフイ、と五条から視線を反らし、絶対にこの気持ちを察知されることがないようにしよう、と固く決心した。
そんな私の様子を見ていた五条はククッ…と微かに笑って
「…分っかりやすー。こんなのに引っかかるなんてやっぱAはバカだなーウケる」
『は?何言ってんの?』
「いんや?…というか一応言っとくけど。俺たちは呪術師だ。……だから他人にいらぬ情は抱くなよ」
『…ん?いらぬ情って…』
どういう事、と言おうとしたら。
…車のエンジン音。それとヘッドライトの光。
──右手から1台の黒い車が向かってくるのが分かった。
多分あれが窓さんの車だろう。
「お、やっと来たか。…と、いうことで。お前はちゃんと治療してもらえよ。あと任務は俺が引き継ぐ事になったので悪しからず♡」
『は!? 何勝手に引き継いでんのよ!? さっきも言ったと思うけど今回の任務は厄介なんだってば!』
「あーもーうるせーな、決定事項なんだから口出しすんな。頼むから自分の体を治すのに集中してくれ」
五条がそう言ったと同時に、車が目の前に止まった。
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作者名:すば | 作成日時:2022年11月20日 20時