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パンドラボックス ページ4

『ねぇ…霧尤、だっけ…はさ、私の事、なんで殺さないの…?』

「ん? 先刻も言っただろう。オレはお前の事を気に入ったからだ」

『それはどーも…だったらさぁ……私にかけた術式? 呪縛? どっちか分かんないけど解いてくれない?』

「…ほう。やっと気づいたか。だがまだまだだな。己にかかる呪縛を即気づけないような者では、まだまだオレには遠く及ばん」

『その割には目見開いていた気がするけど』

「…」

『うわー今つまらんやつ、とか思ったでしょ。視線で分かったわ…』

「…そうとも限らんぞ? お前はオレとまともな会話をしてくれるだろう? その時点で面白い奴だと思うが。…他の奴らはオレの話も聞かず、攻撃のみに徹する者ばかりだった。殺して正解だった」

『…確かに、なんで私呪詛師とお喋りしてんだろ』




なぜか気付かなかった違和感。

なぜ私はこの呪詛師に警戒心を解いてこんなのほほんと…としているかは分からないが、会話を繰り広げていたのだろうか。そしてなぜ、この呪詛師と話すと、私の身近にいる人と話すみたいな雰囲気になりえるのだろうか。


…薄々思ったけどもしかして―――――






『貴方、もしかして夜心家と関わりがあるんじゃ―――』

「…シッ」


言葉を最後まで紡ごうとした途端、霧尤の手(多分)で遮られた。




「そこから先の思考は手放せ。知ってはならん。開けてはならん。」




真剣な声音になる霧尤。
その声音と言葉の意味から察するに、霧尤は私たちとなにか関わりがある者なのだろうと確信した。

でも、とりあえず思考はそこで途切れさす。コイツの術式がわからない以上、脳内で考えていることが見透かされそうな気がしたから。





『開けちゃいけない…パンドラの箱?』

「そうだな。パンドラの箱だ。…そして残念ながらそろそろ潮時だな。――オレの式神がもうじきこちらへとやってくる」

『は、はぁ!? 式神がやってくるってどうゆうこと!? というかこの目がかすむ呪縛といてよ! まじでこのタイミングで霧尤が出した式神が来たら私死ぬって!』

「まぁ、今のお前じゃオレの式神は倒せんな。だが、その目のかすみが取れれば、力の差はほぼ互角といったところだろうな」

『じゃあまず私から降りてもらってもよろしいですか??』

「ならん。オレの式神が来たらだ。それと同時に呪縛も解いてやる」

『終わった…』





夜心A。今日が命日となりそうです。

瀬戸際の攻防→←霧の夢うつつ



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作者名:すば | 作成日時:2022年11月20日 20時

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