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医務室にて ページ13

Aside

翌日。



「全く…無茶しすぎ」

『うーっ…だってあんなに強い敵が出るなんて聞いてなかったんだもん…』

「だからって全身骨折はないでしょ。良かったね私が反転術式使えて」

『あはは…昨日の私呪力すっからかんだったからなぁ…ま、今度は硝子の手を煩わせないようにします!』

「どーだか」




高専の医務室のベッドで。私は昨日の怪我(ものの見事に全身骨折だった)を硝子に直してもらいつつ、万が一のこともあるから今日一日は安静にしてろ、と言われ大人しくベッドで寝転んでいた。

まぁ、普段は私の術式で怪我とかはカバーしてるからこんな事は一回もなかったんだけど…流石にね。今回直してもらったのは硝子にだし、言うこと聞かないとどつかれそうだし。だったら大人しく寝てるのが最善だよね。




「それにしてもAがここまでやられるなんてどんな呪霊だったの?」

『あーなんか犬神…みたいなのが襲ってきてさ。攻撃してもすぐ回復するし、たたみかけてもやーっぱりすぐ回復するし。ホント厄介なワンちゃんだったよ。あとデカかった。とても』


「へぇー…だから五条が慌てて追っかけていったのか…」


『へ?』



慌てて追っかけてきた?



『なにそれどういうこと?』


「…いや。こっちの話だから気にするな。…それにしてもAがこんなにやられたのに五条が倒せるのか? その…ワン公は。客観的に見て無理だと思うんだけど」

『あー…でも五条は呪力消費極端に小さいからさ。呪力切れとかないじゃん? だったら倒せるんじゃないかな』




…霧尤が出なければね。
という言葉は流石に飲み込んだけど。


硝子の言葉で改めて思うが、今頃五条はあの式神を倒せたのだろうか。

今の硝子とのやりとりの中であえてワンちゃんを「敵」って表現したけど…だって式神って言ったら絶対に式神使い=第三者がいる、って気取られちゃうじゃん?

しかも第三者も三者だし。あんな奴に会わせる訳にはいかないよ。


…仲間の屍なんて、見たくない、から。




『(でも、そんな事…私が言えたことじゃない)』




――私もあの時、死にかけたのだから。



しかも一瞬であっても死を許容した。受け入れてしまった。

その時点で私は…死のことについて軽い気持ちで考えていたということになる。



…もし、あの時五条が助けに来なかったら。あのまま戦っていたら。


今頃私は…仲間に、自分の屍をさらしていたかもしれない。




…私は、まだまだ未熟だ。

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作者名:すば | 作成日時:2022年11月20日 20時

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