伏線 ページ26
「あ。そういやさ、お前傑から映画の券貰ったんだろ?」
『そうだけど…ってなんで五条が知ってるの?』
「んー? なんでだろうなー?」
『……………??』
歩き始めて数十分が経ったころ、五条の口から思わぬ話題が出てきた。
それは、夏油の映画のペア無料券の事。
…なんだが、その事をなぜ五条が知っているのだろうか。
だって、映画の券のことについては今日…というか昨日の夜に夏油から私に言われたことだし、何より五条は昨日一日夏油に会ってないはずだけど…?
訝しげな目で五条を見ると。
「そんな目で見んなよ…まぁあれだ。傑がAに映画の券の事を言う前に、先に俺に言いにきたんだよ。メールで」
『あ、そうだったんだ』
「ん。そんで、俺はいらないからAに欲しいか聞いてみればいいんじゃねーのって言ったんだよ。お前、しょっちゅう硝子と二人で遊びに行ったりするだろ。だからさ」
『へぇーなるほどね。五条やっさしー』
「うっせ、黙っとけ」
流れのままコツンと頭を小突かれた。ツンデレかっつーの
でも、夏油から私に話がくるまでにそんな一連の出来事があったなんて。
あまり見ない五条のちょっとした気遣いに思わず好感度が上がった。
『ま、その件に関してはありがとうなんだけどさー…わざわざ持ち出す話題でもなくない? 言いたい事それだけだったら』
「んー…まぁ確かにな」
『確かになって…それまた人任せな』
「でもまぁとりあえずお前は大人しく硝子と映画見に行ってろ。…あ、それとも俺と見に行く?♡」
『そんな子犬みたいな言い方しても却下です』
「つれない奴だなー」
ケラケラと声を出して笑う五条。それを見て私も笑いつつも、心の内はもやもやしていた。
…二人でどこかに行くなんて、ましてや誘うなんてこと、今の私には出来ない。
それに、今の五条はいまいちよく分からないのだ。
さっきみたいな行動、言動なんかは特に。
ただ私の反応を見て楽しんでいるようにも見えるっちゃ見える。けど……
妙に真剣味を帯びているというか。だから、こちらにしてもそれが冗談なのか本心なのか上手く読み取れないのだ。
そんな中で、ひとしきり笑い終わった五条は「ま、今度遊ぼーぜ」と私の方を見てそう言った。
『まぁまた今度ね』
「その今度はいつくるんだか」
『細かいこと気にしすぎるとハゲるんだよ?』
「んだとテメェ」
『暴力はんたーい』
そんなこんなで。
私たちの夜の散歩は幕を閉じたのだった。
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作者名:すば | 作成日時:2022年11月20日 20時