Dendrobium ページ2
.
『 みんなありがとーっ!
僕、とっても楽しかった!今回も大成功かな?
うんうん。頷いてくれて嬉しいっ!
僕、ほんっとにアイドルで良かったし、みんながファンで良かった!!
わぁ、ありがとう!
今日は御来場ありがとうございましたー!
また次回のライブの来場お待ちしてますね!
あははっ、みんなまったねー!!』
湧き上がる歓声。鳴り響く拍手。
僕のイメージカラーであるダークピンク…紫に近い色のサイリウムが揺れる。
「お疲れ様です」
「お疲れ様でしたー!」
「お疲れ様でしたっ!
今日はありがとうございましたー!すっごく助かりました!」
「いえいえ、素晴らしいライブでしたよ」
「こちらこそありがとうございました」
軽く頭を下げて、楽屋への道を真っ直ぐ歩く。
ふらふら寄り道しない。これは常識。
ライブで体力がなくなってる今は、わるーい人達から見たら絶好のタイミングだし。
疲れを見せないように、背筋を伸ばして。
たどり着いた楽屋の扉を開けるのも、いつも通りにして。
きちんと扉を閉めて、一息。
「っざっけんなクソが…」
もちろん顔は柔らかく微笑みにも見える顔で。
誰にも聞こえないように、小声で。
監視カメラもある。イメージを壊すヘマはしない。
「毎度毎度、ライブの時のあの熱気ウゼー。
暑くて汗かくし アンコールとかまじメンドー。
それをこなせちゃう俺ってさっすが〜。
低脳にも不器用にも凡人にも出来ないクオリティでしょ。当たり前だけど」
さっさと退散するために荷物を片付ける。
これ健気な子になるんだよねー。あとは聞かれりゃ「このあと使う方に迷惑をかけないように」なーんて言ってれば、人望厚い俺にコロッと騙されちゃうんだよねー。
あー、あはっ。ほんっとバカ。
上でふんぞり返ってるだけの無能さえ使ってあげる俺って優し〜。
「葉風や。開けてはくれんか?」
…はぁ〜、ほんっとタイミング最悪。
147人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:右脳54% | 作成日時:2019年6月25日 21時