第八十三話 久しぶりの再会 ページ33
「セイラ・・・なのか・・・？」
男は驚いたように目を見開きセイラを見つめる
「―――あなたは誰。なぜ私の名前を知っているの？」
敵の可能性を考え魔法陣を展開する。回答によっては男に抱き着いている幼子もまとめて殺す。その為の毒を体内で一瞬で編み上げる。
「へっ？」
それに対し男は間抜けな声を出しただけだった
「あーやっぱりセイラなんだ。俺を憶えていないの？」
「あなたの事なんて知らないわ」
「えーそりゃない・・・って、そっか、俺の姿が違くなってりゃわからんよな。俺だよ、アレク！！アレックス・バルド！」
「えっ・・・」
その名を聞き今度はセイラが驚きの声を上げた
「アレク・・・あなたアレクなの？？」
「あぁ、アレクだ」
そう言われよく男を観察した
少し跳ねた栗色の髪
鮮やかな緑の瞳
笑う顔はいつかともに過ごしたあの少年にそっくり
それでも確信が持てず魔法で少年の身体を調べ上げる
「あぁ、本当にアレクだわ。驚いた。数日で人間はこんなに成長するのね」
「数日・・・？あぁ、なるほど。君が約束の日に来なくなってからもう１０年は経つよ」
「１０年・・・」
「うん、１０年・・・小さかった俺は大人になった・・・なのに君は変わらないね・・・本当にユーグスタクトにとって１０年は数日のような月日なんだね」
「―――え？アレク・・・今あなた・・・」
「知っていたよ。初めて会ったあの日からずっと」
「・・・」
突然の告白に驚くセイラ。思い返せば何度か自分が人間ではないと知っているような素振りを少年はしていた。街に出る時も人目を気にして人が少ない時間を狙って連れ出していた。
「ずっと知っていた。君が何者なのかも。どんな存在なのかも。でも俺には関係なかった。初めて君を見たとき俺は君に恋してしまったから」
「恋・・・？」
ズキッと心が痛くなる
だけどその痛みはこの数日悩んでいた痛みと違いとても心地がいい
「あぁ・・・―――そっか・・・私・・・あなたに恋をしていたのね・・・だからか・・・」
そっと胸に手を置いて嬉しそうに笑う
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作者名：ストゥアート | 作成日時：2017年6月24日 22時
